2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロジニアス微小ノード群による無線通信機能の創発
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19H02191
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40451992)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電子回路 / 無線通信回路 / センサノード |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究においてエキサイターからの励起信号を活用することにより同期の強化や隠れたダイナミクスが観察できる可能性を見出した.本年度はこれを発展させて,微小ノード間の無線信号の反射を活用して群全体から放射される信号強度を高めることや,群全体のバックスキャッタリングによる無線通信をするための基礎技術を研究した.まずは一つのノードが反射する信号レベルを高めることができる条件を計算し,アンテナ側の基準インピーダンスを高くすることで反射信号レベル(変調波のパワー)を改善できることを明らかにした.例えば,基準インピーダンスを従来の50Ωではなく550Ωに高めることができれば約10dB程度のリンクバジェットの改善が期待できる.さらに,発振器型センサの出力信号で反射係数を変調する方式において,ノード単体で期待しうる消費電力・センシング分解能・感度・信号帯域幅の関係を定式化することでトレードオフを見通した設計を可能にした.これらのモデル式と測定値が良く一致することを確認した.また,発振器型センサ回路の性能向上が不可欠であるため,スロープブースト方式を用いた弛張発振器型センサ回路を発明した.180nm Si CMOSプロセスによる試作・評価の結果,430nWの低消費電力動作,0から197pFのワイドレンジ動作,710aFの分解能を達成した.従来の発振器型センサ回路と比較して優れたエネルギー効率と分解能を有していることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は他のノードから入力された信号自体を再活用することを考え,ノード単体の設計論の構築に努めた.モデル式を導出するなど,今後の研究に有用な成果を得ることができた.また,世界トップクラスの発振器型センサ回路を開発することに成功した.これらの成果を国内学会・国際会議で発表することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
超小型ノードの設計を進め,引き続き,カオス発振パターンに着目したセンシング,外部励起・反射の活用法の研究に注力する.
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