2019 Fiscal Year Annual Research Report
TOF距離撮像素子のためのジッタ低減技術の確立と極限的距離分解能の追究
Project/Area Number |
19H02194
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
安富 啓太 静岡大学, 電子工学研究所, 助教 (50621661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 教授 (80302157)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Time-of-Flight / 距離撮像装置 / 3次元計測 / 工業計測 / 歯科応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光飛行時間型(Time-of-Flight:TOF)による距離撮像素子の極限的な距離分解能を達成するために、ジッタ低減手法の確立を目指している。これまでの成果で、変調素子を駆動するゲート信号のジッタが支配的となっていることが明らかとなっているため、これを打開する手法として、2つの手法を考案した。 一つ目の手法として、2重参照光サンプリングを検討した。追加の光源を列並列に投光し、主画素と参照画素、列参照画素のそれぞれで差分をとることで、光源トリガのジッタ、ゲート信号のジッタを低減できる。今年度は、これの原理検証のための光学系を検討し、拡散板を利用した光学系を考案し、これの構築の準備を進めた。また、これに利用するセンサについて光源トリガのジッタ低減を実施し投稿していた論文が採択され、出版した。 二つ目の手法として、より簡便なチャージインジェクションを利用したジッタ低減手法を検討している。チャージインジェクションを疑似光入力とした列参照画素を用いることで、ジッタ低減を図る。本方式の実現には、所望の電圧レベルでチャージインジェクションを行える回路の実装と、変調素子の実現が必須となる。既に試作済みの従来の素子をFIB加工により配線修正を行うことで、変調素子の注入レベルの測定を行い、チャージインジェクションが行える見通しを得た。これを基にチャージインジェクションのための回路を集積化したチップを設計・試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイス設計中に、従来の素子に対してFIB加工による配線修正を行うことで、チャージインジェクションの電圧レベルの確認ができることがわかった。このデータ取得は試作チップの実現性を高める上で極めて重要なデータであるため、この確認を優先した。この理由で、試作デバイスの納品が遅れたが、2020年4月上旬に完了したため、計画への影響はほぼない。
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Strategy for Future Research Activity |
検討している2つの手法で、ジッタ低減が行えることを実証する。一つ目の手法の2重参照光サンプリングについては、拡散板を利用した光学系を構築して、光をライン状に分離し所望の撮像結果が得られることを確認する。その後、距離分解能の改善効果を明らかにする。 二つ目の手法である、チャージインジェクションを利用したジッタ低減手法について、試作したチャージインジェクション回路と、電荷変調素子を組み込んだデバイスを評価し、ジッタ低減を試みる。
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