2019 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンへの新スピン機能の付加と革新的スピンデバイスの創製
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19H02197
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 裕一郎 京都大学, 工学研究科, 特定准教授 (50618361)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シリコン / スピントロニクス / スピン流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はスピンの流れ(スピン流)を用いたスピン流論理演算素子の室温動作実証に成功した.スピンとは電子が有する磁石の性質であり,上向き,下向きの2種類が存在する.この上向き,下向きの量を制御した電子の流れはスピン流と呼ばれる.このスピン流はエネルギー消費の極めて少ない情報輸送手段として期待されている.このスピン流を用いたデバイスは複数の提案があるが,これまでに実証された素子は従来の電子デバイスにスピン機能を付加したデバイスに限られていた.この場合には従来素子の一部をスピン素子に入れ替えることによりデバイス自体の性能向上を図る.つまり,システム自体の動作原理は従来と大差ないのが一般的であった.その結果,システム全体としての性能向上も限定的であった.今回の研究ではスピン流の特性を生かし,スピンだけで論理演算を行う素子を実現した.具体的にはスピン流源となる強磁性電極を複数配置し,シリコン中にそれぞれの電極から信号入力を行い,シリコン中で計算を行う.その計算結果を電流,電圧,スピン,光などで出力することができる.本デバイスはスピン流論理演算素子と呼ばれるが,これまでに半導体での実現例はない.今回の研究では既存のLSI技術と整合性の高いシリコンを用いてXOR回路の動作実証に成功した.出力も電圧・電流の両方の形式で出力することに成功した.このXOR論理回路はさらに強磁性体を2つ追加することにより,NANDとOR回路を切り替える素子へと発展できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピン流論理演算素子については着実に進展している.確実な技術が構築されている為,更に発展的なスピン流演算素子も実現しつつある.スピン流演算素子については順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降,電圧駆動や強いスピン軌道相互作用の導入などを検討していく.一部は本年度に前倒しで実行しており,良い結果が得られている.
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Research Products
(6 results)