2020 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of spin related phenomena in silicon
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19H02197
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 裕一郎 京都大学, 工学研究科, 特定准教授 (50618361)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピントロニクス / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は(1)電界によるスピン操作に関する研究および(2)電圧誘起のスピン蓄積に関する研究の研究環境の整備を行った.以下に研究内容を纏める. (1)電界を印加することにより界面に電荷蓄積が生じる.その近傍にスピンが通過すると有効的な磁界が発生し,スピンの向きを変調できる(ラシュバ効果).ここではSi/SiO2界面に電界を印加し,スピンの歳差状態がラシュバ効果の多寡により変調できることを実証した.一般にSiは軽元素であり,ラシュバ効果は小さいと予想されている.しかし,今回得られた結果は歪GaAsと同程度であり,極めて大きい値であった.有効的に電界が印加されていることを示唆している.本内容はNature Materials誌への掲載が決定している.今後はSiO2よりも重い元素でのラシュバ効果を実証する.その為にはSiと当該材料の接合を作製し,その反対側に強磁性電極を形成する必要がある.その為の試料作製技術として基板接合技術を構築し,あらゆる絶縁体とSiとの界面を検出する手法を開発した.具体的にはハフミウム系材料,ビスマス系絶縁材料との接合を形成し,基板接合技術によりSOI基板のI層とする.その後,原子レベルで平坦なSi層を用いて横型Siデバイスを作製する. (2)電圧誘起でスピン蓄積を検出する際,電流を流してしまうと,どちらの起源によるスピン蓄積かを判断するのが困難になる.そこでスピン蓄積を光で検出する装置を開発した.Siに僅かにBiをドープした試料について明瞭なスピン蓄積信号を検出することに成功し,電圧誘起スピン蓄積実証の足掛かりを作ることに成功した. それ以外にもSi中のスピンをもちいてスピンが演算を担う回路の実証にも成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で予定の実験ができない状況になり,計画の変更は余儀なくされた.しかし予定の研究に変わる内容で多くの成果が得られている.例えば,接合技術を高度化し,あらゆる材料でSi界面を形成し,シリコンデバイスを作製できるようになったり,高度なスピン蓄積検出技術を複数個立ち上げることに成功している.非常に機動性の高い研究装置の立ち上げにも成功し,近接効果を用いたスピン蓄積への展開など多くの可能性を占めている.予想外に進んだ内容,コロナ禍の為,来年度に回さざるを得なかった内容などの総合的に鑑みると概ね順調に進んでいると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
確立した光によるスピン蓄積検出手法およびあらゆる接合に適用できる基板接合技術を用いて実験を推進する.後者はSiチャネルのバック再度に任意の材料を挿入し,ゲート絶縁膜にすることができる.特筆すべき点はSiの上面はクリーンな状態であり,高品質なシリコンスピンデバイスを作製できる点である.これらの技術を駆使し,近接効果によるスピン蓄積,電圧誘起スピン蓄積などの実験へと展開してく予定である.
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Research Products
(11 results)