2020 Fiscal Year Annual Research Report
Extreme characteristic semidonductor laser diode
Project/Area Number |
19H02201
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜本 貴一 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (70404027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 芳康 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00345422)
加藤 和利 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10563827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フォトンフォトン共振 / アクティブMMIレーザー / 周波数応答特性 / UTC-PD / 超高速 / 直接変調 / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、半導体レーザの極限性能を追求し、本質的な理論限界である数百THzまでの超高速応答特性を目指した基礎研究を進めることを目的とする。特に本研究では、従来の研究をさらに進展させ、複数のフォトン・フォトン共振現象等による半導体レーザの極限性能実現に向けた基礎研究を行うことを目的とする。 当該年度においては、複数フォトン・フォトン共振を発現するアクティブMMIレーザ素子を用いた100GHz超のための設計条件を検討し、特に当該レーザ構造を前提とした理論モデルの構築等を進めた。その結果、フォトンフォトン共振制御に関しての知見、特にフォトンフォトン共振周波数を電流注入条件の変更によりシフトできる可能性を見出すことに成功し、数G-10GHz程度のピークシフトが可能である可能性を見出した。 また本研究では、100GHz超の周波数応答特性評価技術はまだ十分に確立されていない状況を鑑み、100GHz超の周波数応答特性評価技術として、モードロックレーザ光を用いた評価方法「位相同期光コムスペクトルプローブ法」の導入検討を進め、前年度までにその基本原理の確認していた。一方で、その応答特性の強度測定結果にばらつきが大きいという課題が明らかになった。また新たにUTC-PDを導入し、100GHz超領域の周波数解析ができる評価系を構築しつつある。今後コロナの状況を見据えながら、電通大-九大間での協力体制の基、実験的検証を模索する。更には、高周波領域であるTHz 領域の周波数応答を確認する技術として、光差周波混合により光変調信号をアンテナ集積型高速フォトダイオードで検出後即座にTHz波に変換し、空間を伝搬させてTHz 波検出器を用いてTHzパワーとして検出する方法の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス蔓延防止の観点から研究・出張等の活動が制限される中、オンラインや在宅等可能な手段を可能な限り用いて以下のような進捗を得ている。 (1) アクティブMMI-LDの理論モデル構築 アクティブMMIレーザにおけるフォトン・フォトン共振現象の制御方法を検討する目的で、インジェクションロッキング理論を参考に、共振現象を解析するための理論について検討を行った。その結果、特にフォトン・フォトン共振周波数については相互相関の影響によりフォトン・フォトン共振ピークが変動し得ることを確認した。相関関係を制御する手法としては、第2共振ピークに関係するアームへの電流制御が有効で、現実的な電流制御方法で数~数十GHz程度のピーク位置シフトが可能である可能性を理論的に見出した。なお、ピーク強度、並びにピーク幅について、その体系的な理論的解析については更なる検討が必要と判断している。 (2) 超高速評価系構築 位相同期光コムスペクトルプローブ法の原理確認については、強度ばらつき対策などを進めた。一方で、当初予定していたUTC-PD仕様が入手困難となったため、仕様変更に伴う導入可能性について検討を進めた。その結果、別途DCブロック回路外付け方式にて適用可能であることを確認し、追加必要部材(セミリジッドケーブル、DCブロック)を含め発注・納入を完了させた。更にはUTC-PDからデバイスに信号を供給するためのRFプローブまでの全部材配置専用ベース、並びにアクティブMMIレーザ独自構造に対応するチップマウント等を新たに設計・自作し、提案する高速評価系構築はほぼ終了している。但し、現下の状況下においては福岡<->東京間の出張を控えている。このため、デバイス等を九大から電通大へ持ち込み実験する予定であったデバイス評価項目については、一部実施見合わせており、この部分で遅れが生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在も感染拡大防止の観点から共同研究機関間の出張を制限せざるを得ない状況であるが、予定していた研究計画が進捗するよう以下のように今後研究を推進していく。 (1) アクティブMMI-LD構造の検討 前年度までに明らかにしたフォトン・フォトン共振現象について、更に理論的検討を進め、特にその共振ピーク強度、幅について制御可能かどうか検討を進めていく。加えて、前年度までに明らかになった共振ピーク位置制御方法については、理論的検討結果の正当性を確認する目的で、実デバイスを用いた実験・評価をこれから進めていく予定である。これらにより、将来の1Tbps超高速変調を目指した100GHz超周波数応答のための構造に関する知見を得たうえで、基礎的設計技術を構築していく。 (2) 超高速評価系構築 出張が制約されることが当面想定されるため、当初計画を変更し、電通大で構築された実験系のうち入手が比較的容易なものについては可能な限り同様部品等を九大で取り揃えつつあるところである。現状では、極めて高額なモードロックレーザについては目途が立っていないものの、その他の光学部品等については構築可能と判断している。なお、モードロックレーザについては新品導入は不可能ではあるものの、中古品等の調査などを進め、可能な手段を追及する。また、共同研究先の電通大とは可能な限りバーチャル環境で双方向での実験実演などを通し、実験技術の相互確認を進めていく。これらの施策などにより、当初目的とする成果が可能な限り得られるよう、柔軟に研究が進められる研究体制構築を進めていく。
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Research Products
(2 results)