2020 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン分光法を用いた骨材のASR反応性およびASR残存膨張量の評価方法の開発
Project/Area Number |
19H02214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 貴士 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (70335199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 泰人 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10718688)
上田 尚史 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20422785)
高谷 哲 京都大学, 工学研究科, 助教 (40554209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ASR / 反応性 / 反応生成物 / 残存膨張量 / ラマン分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ASRが生じると,コンクリートのひび割れに加えて,鉄筋破断なども報告されており,ASRはコンクリート構造物の抱える深刻な課題のひとつである.既存の骨材反応性試験で反応性がないとされていた骨材でも膨張およびひび割れが発生した例も報告されており,我が国の骨材の多様性を考えると,過酷化かつ長期化する構造物の供用条件のもとではASRの発生リスクは高いと考えられる.本研究課題では,骨材のASR反応性を迅速かつ簡易に測定できる手法としてラマン分光法に着目し,骨材の反応性や残存膨張量を評価する手法の確立を目的としている. これまでの検討により,溶出しやすい骨材の特徴や,Na2O/SiO2比によりASR反応生成物の特性が変わることなどが明らかになってきたため,2020年度では骨材の反応性をより明らかにするために,溶出前後での微量元素の量について検討を行った.また,様々な岩種の骨材をモルタルに埋設して促進膨張試験を行い,X線CTによりASR反応生成物の分布やひび割れの非破壊観察を行った.その結果,ASR反応生成物がペーストの細孔空隙を充填していることや,充填量の多い骨材の方が膨張量が大きいことが確認された.また,ひび割れは骨材を起点として発生していることが確認された.これまでの検討によりASR反応生成物が吸水膨張しないことや反応性骨材の吸水膨張量が大きいことも確認されていることから,ASRとは骨材から溶出したシリカが空隙を充填し,骨材の吸水膨張を緩和できなくなることで生じる可能性があると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な骨材のラマン分光特性は明らかになりつつあり,骨材の反応性をラマン分光分析で評価する手法の構築は可能であると考えている.一方,残存膨張量の評価については,反応機構や膨張機構をより明確にする必要があると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討によりASR反応生成物が吸水膨張しないことや,反応性骨材の吸水膨張量が大きいこと,ASR反応生成物がペーストの空隙を充填していること,ひび割れは骨材を起点に生じていることなどが確認されている.以上の結果から,ASRとは骨材から溶出したシリカが空隙を充填し,骨材の吸水膨張を緩和できなくなることで生じる可能性があると考えられる.そこで2021年度では,引き続き膨張機構の検討を行うとともに,骨材の吸水膨張性とASR膨張の関係,膨張しやすい骨材の特徴などについて検討を行うこととする. また,反応前後での骨材のラマンスペクトルを比較することにより,残存膨張量を評価できるか検討する.
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