2020 Fiscal Year Annual Research Report
鉄筋の発錆条件の理論的整理に基づくRC構造物の予防保全型維持管理の実現
Project/Area Number |
19H02218
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
加藤 佳孝 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 教授 (80272516)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊代田 岳史 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20549349)
加藤 絵万 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (90371765)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 維持管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
①の課題については,塩化物イオン濃度,pH,鉄筋の電位とそれぞれの保持時間が,鉄筋の腐食に与える影響について定量的に把握すると伴に,既存のモデルを応用して定式化に成功した.今後,実構造物中で電位を主に支配する酸素濃度との関係を実験的に把握することで,鉄筋コンクリート構造物の発錆条件を設定することが可能となる. ②の課題については,連続浸せき試験と乾湿繰り返しの試験結果から,実験室内で実施している乾燥の影響が不十分である可能性を見いだし,別途,乾燥条件について追加で検討した.その結果,日射の影響が大きい可能性が明らかとなり,今後,気象条件とコンクリートの乾燥状態を踏まえた物質移動のモデル化を検討する必要性があることを明確とした.また,セメント硬化体中の湿度変化と質量変化の結果から,ある湿度環境下でのセメント硬化体中の水分の状態,特に液状水の量が使用する材料によって異なることを実験的に把握した.コンクリート中鉄筋の腐食にとって重要なのは液状水の量であり,これについて,さらに検討を進める必要があることがわかった. さらに,中性化機構について,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと,高炉スラグ微粉末を混入したコンクリートの機構の違いについて明らかにすることができた. また,台風の影響等で遅れていた暴露試験を開始した. ③の課題については,溶出による細孔溶液(おもにpH)の推定方法について構築することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
暴露試験の開始が台風等の影響で遅れているものの,それ以外の内容については,当初予定とは異なる結果を得つつも,その都度若干の計画修正によって対応することで,大凡,スケジュール通りに実験および検討は進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は最終年度となるため,これまでの成果に基づき,特に課題となる鉄筋の発錆条件に与える酸素濃度の影響の定量的理解と,気象条件に基づくコンクリートの乾燥とその後の浸透について実験的に検討を進める.さらに,簡易モデルの妥当性については暴露試験結果を用いて検証していく.オンライン会議という合理的なツールを活用し,これまで以上により密接に共同研究者と協力し,最終成果が得られるように進めていく.
|