2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of condition evaluation system for steel structures considering redistribution of stress caused by damage progression
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19H02222
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 栄一 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40311659)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鋼構造物 / 腐食損傷 / 応力再分配 / 状態把握 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,鋼構造物の維持管理上重要な現有性能等の状態把握を行うことを目的として,①損傷進行に伴う応力等の状態変化特性の解明,②状態変化による耐荷力への影響の検討,③状態変化の検出方法に関する検討,④現場実験による鋼橋梁部位への適用性の検証,⑤点検時の簡易計測法としてのシステム構築,⑥効果的な損傷補強対策に関する考察を実施している.2019年度は,以下の4つの内容について検討を行った. 1)腐食損傷進行に伴う応力再分配挙動に関する数値シミュレーション(テーマ①): 残留応力および死荷重応力作用下の腐食進行に伴う応力再分配挙動について,鋼桁端部を対象としてFEM解析による数値シミュレーションを行い,応力再分配について定量的に把握した.また,トラス橋梁を対象とした解析を開始した. 2)腐食損傷進行に伴う応力再分配挙動に関する鋼桁モデル実験(テーマ①,②):1)の検討に関連して,鋼桁モデル試験体を用いて,予め設置したひずみセンサの板厚減少時挙動に着目した実験を行うため,モデル試験体の設計,製作を行った.引き続き,実際にどのように応力再分配挙動が生じるのかについて確認する. 3)渦電流を用いた鋼板の応力レベル評価法に関する検討(テーマ③):周波数,リフトオフ等の影響を考慮し,応力計測のためのコイル諸元,計測条件等について動磁場シミュレーションにより検討した.位相図により,応力変動の影響とリフトオフの影響を区別できる可能性があること等を確認した.引き続き,力学解析と動磁場解析を組み合わせた解析により,応力分布がある場合等について検討する. 4)実橋梁における計測法の検討(テーマ④):鋼桁端部を対象として,応力状態把握のためのセンサ設置方法等,継続計測(モニタリング)手法について検討した.引き続き,実測に向けた検討を行うとともに,トラス橋部材の場合の計測法について検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年に実施を予定していた検討内容について,概ね順調に検討を進めていると考えられる.鋼桁モデルを用いた実験について供試体製作に時間を要したが,それ以外は想定通りであると考えられる.また,2020年度以降に予定としていた,トラス橋梁を対象とした検討を開始したほか,疲労き裂導入による影響についても検討を始めているなど,当初予定より早く進んでいるテーマもある.全体としては,順調に進められていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に検討を行った内容はそれぞれ2020年度にも継続検討内容があり,引き続き検討を進める.それに加えて,2020年度には,「渦電流を用いた鋼部材の状態把握システムの構築」として,鋼部材の腐食状態分析手法(さび厚,残存板厚同時分析)と応力計測方法を統合しより効率的な計測法とするためのシステム構築を図るとともに,「疲労損傷による応力状態変化に関する検討」として,疲労損傷を有する鋼部材を対象とした,残留応力と死荷重応力の再分配挙動に関する検討を行う.さらに,「点検時の簡易計測法としてのシステム構築」として,ポータブルなシステムとしての構成を検討する.
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Research Products
(2 results)