2019 Fiscal Year Annual Research Report
評価値のばらつきに応じた空間解像度で表示するUPM理論の構築
Project/Area Number |
19H02224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 浩之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70452323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
規矩 大義 関東学院大学, 理工学部, 教授 (70251759)
林 能成 関西大学, 社会安全学部, 教授 (90362300)
飯山 かほり 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90711870)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不確定性 / ハザードマップ / 空間解像度 / 地盤情報 / 地盤震動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,評価値のばらつきに応じた空間解像度で描くマップ(Uncertainty Projected Mapping:UPM)理論の確立とその発展を目指すものである.現在,国や自治体を中心に自然災害に関するハザードマップの公開が進められているが,その目的に反してマップが過剰な安心情報となる場合がある.この問題を解決するため,評価値のばらつきに着目し,統計的な意味で有意に違いがある場合に限り異なる色合いで表示するUPM理論が適用できる可能性が高い.本研究は,地震災害を中心にUPM理論の適用に向けた課題を洗い出し,理論・観測・社会実装とを有機的に連携させながら研究を進め,UPM理論の確立と発展を目指すものである.
本年度は,UPM理論を数学的,統計的な見地からその意味を明らかにしてきた.先行研究では,交差検証(cross validation)により最適モデルを選択したが,複数回の試行が必要なために計算コストが高く,大規模な空間イメージングを行うことが容易ではなかった.UPMは空間統計量をベイズ推定することで得られるため,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を利用している.このサンプリング結果を有効に使えるWAICやWBICといった情報量基準を適用したところ,ほぼ同様の結果が得られた.また予測誤差と空間解像度との関連性を見るために,与えるデータ数を変化させながら図示したところ,UPMによる結果は滑らかな空間解像度から詳細な空間解像度へと推移する様子が観察された.従って,UPMでみている不確定性とは,主にサンプルデータからの予測誤差であることが明らかとなった.また,様々なフィールド調査,既往のデータ整理を並行して進めており,次年度以降に有機的に連携させることを目指している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,UPMの理解を深める上で,モデル選択の変更や,UPMで評価される不確定性の対象が予測誤差であること等,大きな進展があった.並行して進めているフィールド調査や既存データの整理も順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に実施したUPMに関する理論的な研究の成果に基づいて,様々な対象を使って実際に適用を目指す.具体的には,ボーリングデータを空間補間して地盤情報を空間的に把握するような問題や,確率論的地震ハザードモデルに対する適用を試みる.しかし,例えば確率論的地震ハザードモデルにはサンプルデータが面的に与えられているのではなく,ある確率モデルが与えられている.この確率モデルが予測誤差を含めて何らかの確率的特性を表現しているのであれば,予測誤差の期待値で描く通常のUPMと,ハザードモデルの平均値のマップは等しいものになってしまう.これを解決するための新しい理論的枠組みの開発にも取り組む.また,地盤情報の不確定性や振動特性の不確定性についての既存データの整理やデータの取得も並行して取り組みながら,社会実装に関する問題にも取り組む予定である.
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Research Products
(13 results)