2020 Fiscal Year Annual Research Report
防食皮膜の傷劣化と鋼材の電気化学機構の連成解明に基づく鋼構造物の致命的損傷予知
Project/Area Number |
19H02227
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
貝沼 重信 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00262874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 泰浩 九州大学, 工学研究院, 教授 (20301343)
楊 沐野 九州大学, 工学研究院, 特任助教 (70836519)
押川 渡 琉球大学, 工学部, 教授 (80224228)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腐食 / 塗膜 / 鋼構造物 / シュミレーター / 電気化学機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
①防食皮膜の傷・劣化が鋼素地の防食性能に及ぼす影響評価:全国7地点(沖縄2地点,福岡2地点,鹿児島,苫小牧,夕張)で実施した大気暴露試験と塗膜劣化した試験体,および実構造物に貼付・暴露した小片裸鋼板を用いて,防食皮膜の傷・劣化が電気化学機構に及ぼす現象を学際的視点で分析・評価した.
②防食皮膜の傷・劣化と電気化学機構の連成解明と鋼素地の腐食進行性の評価:塗膜の傷・劣化を考慮可能な電気化学モデル試験体を製作して,そのラボ試験(電流,電位,インピーダンス)により解明した.腐食環境パラメータは,NaCl電解液の濃度と水膜厚(5~10mm)に加え,乾湿の繰り返しとした.ラボ試験と①の様々な大気環境で行った暴露試験から得た皮膜劣化,腐食挙動(腐食深さ,表面性状),腐食生成物の組成の相関関係を分析した.この結果から,これらが塗膜傷の鋼素地間における電気化学特性に及ぼす影響を評価した.これらの知見に基づき,実構造物の適用に耐えうる薄膜センサを考案・設計した.
③実塗膜のミクロセルおよびマクロセルの腐食に対する防食性能の定量評価:鋼構造物に多用されている無機系と有機系のジンクリッチ塗料を②の電気化学モデル試験体に適用して,ミクロセルおよびマクロセルの視点でラボ試験を実施することで,仕様の差異による鋼材の防食作用の詳細を定量的に明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塗膜の傷・劣化を考慮可能なモデル試験体の製作と電気化学試験から各傷単体のミクロセルと塗膜間のマクロセル腐食を精度良く評価することに成功している.また,この知見を一般に用いられている無機系と有機系のジンクリッチ塗料に適用することで,仕様の差異による鋼材の防食特性の詳細を高い信頼性のデータにより学際的視点で解明することに成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
各皮膜の仕様,皮膜厚,複層構造,および紫外線と光触媒による劣化度をパラメトリックに変化させたモデル試験体の電気化学試験を実施する.また,実構造物の部位レベルの腐食環境を考慮して塗膜劣化と腐食挙動の連成を評価可能な薄膜センサを開発する.
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Research Products
(57 results)