2020 Fiscal Year Annual Research Report
古紙を原料とする革新的泥土処理技術の開発とその処理メカニズムの解明
Project/Area Number |
19H02235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 亮 京都大学, 工学研究科, 教授 (30177927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 康生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20738223)
宮崎 祐輔 京都大学, 工学研究科, 助教 (10847320)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古紙 / 微細化加工 / 高含水泥土 / セルロース / 地盤の水分分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,古紙微細粉体による高含水泥土処理のメカニズムと処理泥土の物理特性変化を明らかにすることである.2019年度までの研究から,古紙微細粉体を添加することで高含水泥土の強度が増加し,運搬性が向上することが明らかになっている.しかし,対象泥土の含水比が著しく高い場合には,古紙微細粉体による処理だけでは地盤材料として再利用することが難しいことが明らかとなった.そこで,古紙微細粉体とセメントを併用した処理泥土の地盤材料としての適用可能性を検討することを目的に,処理泥土に対する各種力学試験を実施した. はじめに,実現場で発生する浚渫土を模擬することを目的に,粘性土の沈殿実験と23箇所の現場データの分析を実施した.浚渫土砂の含水比はおよそ60%から150%である場合が多いことから,初期含水比を100%, 150%, 200%に調整した泥土に対して古紙微細粉体とセメントを併用した場合の強度特性を調べた.その結果,セメントと古紙微細粉体を併用して処理した場合には,セメントのみで処理した場合と比較して供試体の剛性を表す変形係数E50が低下することを確認した.また,破壊ひずみが増加し,最大圧縮応力までの靭性も増加することが明らかとなった.一般的にセメント安定処理土は地盤との剛性差が大きいために盛土材などに利用することが難しいとされているが,古紙微細粉体を併用することで剛性が低下し,粘り強く靭性の高い地盤材料に改良できる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古紙微細粉体による高含水泥土の処理原理は,古紙に含まれるセルロースによる吸水作用が主たる要因であると考えられる.さらに,古紙微細粉体が土粒子周辺の間隙水を吸水することで地盤が不飽和状態となることも流動性を低下させる要因のひとつであると考えられる.一方,処理泥土を再利用することを考えると,古紙微細粉体による保水性や透水性の向上,さらに,繊維状の物質を添加したことにより,短繊維地盤改良と同様の効果を期待することができる.しかし,これまでの研究成果から,対象泥土の含水比が著しく高い場合には,古紙微細粉体による処理だけでは地盤材料として再利用することが難しいことが明らかとなってきた.そこで,2020年度は,特に古紙微細粉体による処理泥土の利活用を念頭に,古紙微細粉体とセメントを併用した処理泥土の力学特性について検討を行った.その結果,古紙微細粉体とセメントの配合が処理泥土の力学特性に与える影響を評価することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により,古紙微細粉体を添加することで,高含水泥土のハンドリングが向上し,運搬が可能になることが明らかとなってきたが,その地盤材料として再利用の可能性や長期挙動については未解明である.そこで本年度は,以下の2点に着目して研究を進める. 1.古紙微細粉体を含む処理泥土に固化材を添加した際の材料特性 高含水泥土に古紙微細粉体添加・撹拌することで,運搬までの処理が可能となることが明らかとなった.しかし,そもそも高含水泥土は地盤材料として優れた材料であるとは言えず,本工法による処理だけでは現場において地盤材料として再利用することは難しい.そこで,処理泥土にセメントや石灰等の固化材を加えた際の材料特性について検討を行う.さらに,現場での泥土処理や施工を想定して解砕に有無についても検討する. 2.セルロースの分解に伴う処理泥土の中長期的な物性変化 提案する高含水処理技術は,セルロースの吸水特性を利用したものであるが,セルロースは土中の糸状菌が分泌するセルラーゼによって分解されることが知られている.そこで2018年度に古紙微細粉体を土中に埋設し,その強熱減量の変化を長期的に観察する実験をスタートした.引続き同実験を実施し,古紙微細粉体の中長期的な挙動を確認する.
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Research Products
(3 results)