2019 Fiscal Year Annual Research Report
扇状地河川における突発的な河道の移動現象の機構解明とその対策手法の開発
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19H02243
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 康玄 北見工業大学, 工学部, 教授 (00344424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 洋史 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70325249)
川村 里実 (山口里実) 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 主任研究員 (70399583)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 扇状地河川 / 谷底平野 / 河道変動 / 流路変動 / 突発災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
扇状地河川に見られる節腹連続河道における流路の形成の機構を解明する第一歩として,大規模出水時に形成された流路の中小規模出水時における挙動を把握することを試みた.その結果,澪筋に土砂の堆積がみられるとともに流路が横断方向に広がる傾向を示した一方で,節腹の波長は変化しないことが明らかとなった.このことから,大規模出水時に形成される2筋の澪筋が中小規模出水時の土砂堆積により一方の流路が閉塞し,1筋の澪筋のみになることが示唆された. 音更川で発生した2011年および2016年出水時の堤防決壊は,大規模な側岸侵食によるものであった.それぞれの被災箇所周辺の河道変化を分析したところ,いずれも上流側で蛇行流路の短絡が生じていた.再現計算を実施した結果等より、このような短絡による一種の流路交番現象が下流側の大規模な側岸侵食へ連動している可能性が示された. 一方で,中上流域における河道の移動に大きく影響を与える上流域である山地部からの土砂の供給状況について,2019年10月に土砂・洪水氾濫が発生した宮城県丸森町を対象に現地調査を実施した.その結果,宮城県丸森町の地質は花崗岩であり,花崗岩が風化した粒径の小さい真砂土を多く流出していた. これは,2017年の九州北部豪雨時に土砂・洪水氾濫が発生した赤谷川や2018年の西日本豪雨時に広島県小屋浦で発生した土砂・洪水氾濫と同様であり,これらの地区でも多くの真砂土が流出した.つまり,河床材料の粒径が細かいと宅地が存在する緩勾配域まで土砂が流れやすいため,土砂・洪水氾濫を発生させやすいと考えられ,流路の移動を発生させやすいことが明らかとなった. また,流路の短絡現象が周辺の流路形状の変化に与える影響を佐賀県太良町の流路を対象に現地調査を実施した.その結果,流路の短絡が発生すると流路変動が非常に活発となり,流路の形状が大きく変化することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実河川における大規模出水時の流路変動や側岸侵食並びにその後の中小規模出水時の流路変動について,再現計算を含む数値解析によって検討を進めている.また,室内実験水路によって現象の再現を実施し,機構解明に必要な現象のプロセスを示すデータを蓄積してきている.また,中上流域における河道の移動に大きく影響を与える上流域である山地部からの土砂の供給特性について,現地調査により明らかとなった.さらに,流路の短絡現象と流路変動との関係についても現地調査によって明らかとなっており,調査対象河川は予定していた河川とは異なるが,予定していた研究成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
実河川の再現計算や室内実験データに加えて数値実験等を実施し,大規模出水時に形成された2筋の澪筋が中小出水時に1筋となり,これがさらに流路交番現象を起こす機構と,短絡等による新たな流路の発生が下流側の蛇行発達および河岸侵食へ与える影響を検討する.また,河道の移動に大きく影響を与える土砂流出現象の数値シミュレーションモデルを開発し,土砂・洪水氾濫現象の再現を試みる.また,流路の移動現象・交番現象については,平面二次元河床変動解析によって現象の解明を試みる.
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Research Products
(20 results)