2019 Fiscal Year Annual Research Report
冬期の自動運転を支援する道路管理システムに関する研究
Project/Area Number |
19H02254
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
萩原 亨 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60172839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗廣 一徳 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 主任研究員 (00414194)
高橋 翔 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00708018)
有村 幹治 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40548062)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 冬期自動運転 / ACC / THW / THC |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究では、雪道運転に慣れたドライバがACCを使いながらすべり摩擦係数が低い路面で走行しても「あぶない」と感じない、あるいはACC制御に割り込みたい(オーバーライドと呼ぶ)と思わない走行条件を冬期路面となる高速道路における走行実験から明らかにすることを試みた。冬期を対象とするため、滑る路面でのドライバ行動を計測するため、供用中の道路を使い実車で走行実験を行った。また、高精度なRTK‐GPSを用いることで、先行車が減速するときの追従車の挙動をデータ化することから、実車実験であっても細かい分析が可能となった。湿潤路面で先行車が減速したときの先行車が減速したときのTTCおよびTHWは、近藤らによる既存研究で示された閾値曲線に囲われる結果となった。既存研究の結果と合致すると同時に本実車実験の計測結果の妥当性を示すといえた。一方、本研究の主目的である圧雪・凍結路面において、先行車の減速時にドライバが減速を選択するときのTHWは通常路面より1秒程度長くなることを示せた。冬期道路環境においてドライバが安心してACCを利用できる設定として、THWを長くすることが示唆された。ただし、圧雪・凍結路面での実験参加者は1名であり、今後も同様の計測が必要となる。
また、ドライビングシミュレータを用いてACCが冬期において利用可能となった状況を想定し、前方の車両が減速したときのACC車を運転しているドライバの危険感と運転行動について検討した。路面のすべり抵抗値が小さくなるとオーバーライドするときのTTCは短く、路面のすべり抵抗値が大きくなるとオーバーライドするときのTTCは長くなった。実車とDSによる実験結果は、ACCを雪氷路面で使うとき路面状態を事前に知ることが必要となることを示唆している。そのような情報を提供する手段を今後検討していくことが必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.自動運転支援装置(ここではACC)の冬期における動作可否 ・本研究の主目的である圧雪・凍結路面において、先行車の減速時にドライバが減速を選択するときのTHWは通常路面より1秒程度長くなることを示せた。冬期道路環境においてドライバが安心してACCを利用できる設定として、THWを長くすることが示唆された。2020年度9月に開催される交通工学研究会で発表する。 ・前述と同様の目的でドライビングシミュレータでも類似した研究を実施した。2020年6月の土木計画学で発表する。
2.車載カメラによる視界検知 自動で車両の前方視野動画と画像を転送するシステムを開発した。北海道東部の3路線の国道管理者の道路パトロールカーにこのシステムを搭載した。2019年の冬期に車載カメラで吹雪時の路線の視界レベルの変化を計測した。車載カメラの視程レベルとCCTV(固定カメラ)の視程レベルに高い相関があり、両者の情報からより安全な道路管理に貢献できる可能性を示唆できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.自動運転支援装置(ここではACC)の冬期における動作可否 2019年度の実車実験から、ACCを冬期に利用するための条件を示唆できたが、実験数が少なく不十分となった。2020年度は、寒地土木研究所が所有する苫小牧試験路で同様の実験を実施し、ACCを冬期に利用するための信頼性の高い情報を獲得する。また、2019年度の成果から、車間距離を長くとることでACCが冬期においても安全に利用できることを示唆できているが、このような条件で多数の車両が走行したとき道路交通のパーフォーマンスにどのように影響するかをVISSIM(交通シミュレーション)を用いて検証する。
2.車載カメラによる視界検知 2019年度に計測したデータを2020年度には分析し、車載カメラによる視界レベルのメリットを定量的に明らかにする分析を深める。また、2019年度と同様の路線で、車載カメラによる視程レベルに関するデータを積み上げる。
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