2020 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤ改良先進国におけるタクトファープランの評価とわが国への導入の必要性と可能性
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19H02258
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中川 大 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (30180251)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄道 / ダイヤ / 利便性 |
Outline of Annual Research Achievements |
諸外国で進められてきたダイヤ研究のサーベイを行ってきた。Taktfahrplanは英語では、Cyclic,symmetric and integrated timetableと表現されており、cyclic,symmetric, integratedのそれぞれの概念が有する意味を日本のダイヤの現状と照合しながら整理した。 とりわけ、Symmetricは日本では明確には意識されていない概念であり、その有用性について考察した。スイスなどでは20年以上の年月をかけてこの概念を確立しており、この概念の確立過程とそれをどのようにして実際のダイヤとして実現してきたかについて調べた。 Taktfahrplanはダイヤ作成技術だけでは実現は難しく、その達成のために設備投資等を行う必要があり、スイスなどはこの目標に向かって、すれ違い設備の設置や車両性能の向上等の設備投資に努めてきたことによって実現できたものであるため、その具体的な内容を調べた。 また、Taktfahrplanの有効性の定量的評価を行うために、スイスなどのダイヤの変遷を分析して、鉄道ダイヤの状況とダイヤによる路線活力の定量的分析を開始した。さらにダイヤ改良前後においては利用者数の増加や運営費の大幅な削減が達成されたと報告されており、それらの具体的な要素について分析する方法について検討した。 さらにそれ以外の効果として、遅れが発生した時にも、あらかじめ最適な対応方法を準備しておくことができることなどTaktfahrplanの考え方には優れた点が多いことを示した。加えて、遅れに対応したダイヤをあらかじめ数値化しておくことは、変更後のダイヤを駅のディスプレイに直ちに表示することにもつながることなどについても日本の鉄道事業者が認識できるようにするため、このような効果の事例を具体的に収集してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本におけるダイヤ研究の必要性を明らかにするとともに、ダイヤ改良の実現可能性を分析するする内容について順調に進展している。また、その過程において、日本の事業者がダイヤ改良の必要性を認識することができるように、過去と現在の日本の鉄道ダイヤの変化を定量的に分析し、ダイヤによる利用者数の増減傾向の違いを把握するとともに、ダイヤ改良による運営費の削減効果の試算も開始している。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、海外の研究者とのネットワークを構築する部分については、当初の想定通りには進まないため、それに代えて、実際にタクトダイヤを日本の具体的な地域にあてはめて構築する準備を開始している。その点において、当初の想定を上回る進捗となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
タクトダイヤを日本の具体的な地域にあてはめて構築する点に関しては、ダイヤデータの収集を進めるなど準備を開始しており、その方向に従って実施する準備が整っている。 2021年度は最終年度となるため、予定通り進展させて取りまとめる予定。
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