2021 Fiscal Year Annual Research Report
避難行動リスク監査による水害・土砂災害時の状況認識の改善法の構築
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19H02263
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
柿本 竜治 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (00253716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 大介 琉球大学, 工学部, 准教授 (30363659)
吉田 護 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (60539550)
塚井 誠人 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (70304409)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 避難行動 / 自然主義的意思決定 / 二重過程理論 / 状況認識の失敗 / 防護動機理論 / 豪雨災害 / アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度,2018年7月豪雨により被害を受けた岡山県,広島県,愛媛県の住民を対象に,WEBと郵送によりアンケート調査を行った.本年度は,その中で何らかの被害を受けた594件を対象に提案する避難意思決定の枠組みにしたがい避難行動の要因分析を行った.気象情報や避難情報の適切な状況認識から脅威評価を高め,非防護反応や対処費用を考慮しつつも高い避難意図を形成,それに基づいて避難する能動的避難者は40%弱に過ぎず,残りの避難者は呼びかけや災害の脅威が切迫したこと等をきっかけとする受動的避難者であった. 脅威評価モデルの推定結果から避難情報取得率や気象情報の理解度が向上すれば脅威は高まるが,それだけでは,もっとも高い段階まで到達する確率は低いことが分かった.分析対象者は,災害の危険性が高かい地域の住民であったが,脅威評価が低い人も存在した.自身が居住している地域で災害が発生するとの認識が低かったと考えられる.そのような人々は,積極的に情報を取得しないだろうし,また,情報を取得したとしても地域のハザードの理解がなければ,災害への脅威は形成されない.したがって,豪雨時の防災情報や周辺状況の変化から適切な脅威評価が形成されるよう防災学習等を通じて居住地域のハザードやそのリスクの認知の改善が必要である.それにより,SAレベル1やレベル2の失敗を減らすことが可能となる. 避難意図モデルの推定結果から脅威評価が高まれば,避難意図も高まるが呼びかけの影響も大きいことが分かった.また,災害が発生しても被害を受けないや避難は面倒との思いが避難意図の形成を阻害していた.脅威評価を高めるとともに,非防護反応や対処費用を緩和方策が必要である.地域の呼びかけが,気象情報や避難情報の状況認識,脅威評価,避難意図の形成に失敗した住民であっても避難行動を促すきっかけとなり得る点は重要な知見の一つである.
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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