2019 Fiscal Year Annual Research Report
Implementation and Improvement Study on Infrastructure Asset Management System in local government
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19H02266
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
那須 清吾 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (30373129)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アセットマネジメント / 社会基盤 / 定期点検 / 長期修繕計画 / 地方自治体 / 認知心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
地方自治体の予算、技術、人材でも持続可能なアセットマネジメントシステム(メインテナンスシステムの確立、及び、その見直しの為のマネジメントサイクル)を実証的に創造する。点検システムから劣化予測、長期修繕計画に至る全ての道路施設の維持管理システムを対象として、点検システムの見直しから点検士の能力改善を踏まえた劣化予測・長期修繕計画の精度改善が自律的に進むシステム開発とその実証的な理論体系を構築する。本研究では研究代表者が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」において五年間に渡って研究開発して来たアセットマネジメントのプロトタイプシステムによる実装研究を行い、以下の内容を実施した。 1)現場技術者の感覚に馴染むアセットマネジメントシステム:橋梁の健全度管理を行う現場技術者にとって、アセットマネジメントシステムが提供する劣化予測やLCC算出結果、長期修繕計画が、彼らが作成する計画等とマッチングを検証し、そのミススマッチ要因の抽出を行った。 2)持続的な精度向上によるシステムメンテナンスシステム:物理劣化予測モデル、環境モデル等のデータ蓄積に基づく精度向上が組み込まれた本アセットマネジメントシステムが、材料特性情報、環境情報や補修工法の効果に関する情報等のばらつきや誤差から受ける影響を確認した。 3)外部環境の変化に対応するシステムメンテナンス方法:自然環境、技術環境、社会環境、経済環境の変化に対応して、アセットマネジメントシステムの経営目標、予算の配分などのアウトプット情報を整理し、課題を確認した。 4)点検士の心理学的な認知・判断プロセスおよび誤差要因モデルに基づく精度改善:点検時に把握した変状を損傷判定するプロセスを、特徴情報の処理に認知心理学の知覚および注意制御の考え方を取り入れることでモデル化し、点検士の心理を構造化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では研究代表者が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」で研究開発したアセットマネジメントによる実装研究を行った結果、以下の進捗および新たな事実の確認が出来た。2019年度の研究においてはその為、一部の研究内容を建設的に先送りしており、区分において「(3)やや遅れている。」とした。 1)現場技術者の感覚に馴染むアセットマネジメントシステム:橋梁の健全度管理を行う現場技術者とアセットマネジメントシステムが提供する劣化予測やLCC算出結果、長期修繕計画は、検証の結果概ね一致することが確認された。しかし、一部のケースにおいては全く一致しないことが判明した。おおむね一致していることで、実装研究は成果を上げたと言える一方で、一部の全く一致しないケースでは、多様な要因が想定されたことから、データの再突合せ検証とミススマッチ要因を違った視点で再度実施することとし、一部予算の繰り越しにより継続することとした。 2)持続的な精度向上によるシステムメンテナンスシステム:物理劣化予測モデル、環境モデル等のデータ蓄積に基づく精度向上が組み込まれた本アセットマネジメントシステムが、材料特性情報、環境情報や補修工法の効果に関する情報等のばらつきや誤差から受ける影響は、想定パターンと一致した。 3)外部環境の変化に対応するシステムメンテナンス方法:アセットマネジメントシステムの経営目標、予算の配分などのアウトプット情報を整理し、課題を確認したが、建設時品質や点検情報、修繕対応などで1)と関連する課題が存在する可能性を確認した。 4)点検士の心理学的な認知・判断プロセスおよび誤差要因モデルに基づく精度改善:特徴情報の処理に認知心理学の知覚および注意制御の考え方を取り入れたモデルの妥当性を、点検士のヒアリング結果および点検要領の記述と突合せ検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では研究代表者が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」で研究開発したアセットマネジメントによる実装研究を行った結果、以下の進捗および新たな事実の確認が出来た。2019年度の研究の進捗を踏まえて、以下の2020年度の研究の推進方策を設定した。 1)現場技術者の感覚に馴染むアセットマネジメントシステム:橋梁の健全度管理を行う現場技術者とアセットマネジメントシステムが提供する劣化予測やLCC算出結果、長期修繕計画は、検証の結果が一致しない一部のケースが発生する原因を、全てのケースを再検証することで、一致の是非が何に起因するのかパターン分析を行う。 2)持続的な精度向上によるシステムメンテナンスシステム:物理劣化予測モデル、環境モデル等のデータ蓄積に基づく精度向上が組み込まれた本アセットマネジメントシステムが、材料特性情報、環境情報や補修工法の効果に関する情報等のばらつきや誤差から受ける影響は、想定パターンと一致した。しかし、1)に関連して未検討の建設時品質情報や点検データによる検証を加える。 3)外部環境の変化に対応するシステムメンテナンス方法:アセットマネジメントシステムの経営目標、予算の配分などのアウトプット情報を整理し、課題を確認したが、建設時品質や点検情報、修繕対応などで1)と関連するメカニズムを解明する。 4)点検士の心理学的な認知・判断プロセスおよび誤差要因モデルに基づく精度改善:点検士のヒアリング結果および点検要領の記述の付き合わせから確認できた相互連関を、認知・判断プロセスのモデルに組み込み、誤差発生モデルを提案する。
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