2019 Fiscal Year Annual Research Report
高齢ドライバー運転診断・移動支援システム MOSESの構築と展開
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19H02267
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 美緒 東海大学, 工学部, 准教授 (20573926)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 交通安全 / 高齢ドライバー / 認知機能障害(MCI) |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,高齢ドライバーの自動車運転技能と認知機能の変化の関連性について調査し,以下の結果を得た. ・昨年度,認知機能が低下したMCI(軽度認知障害)と考えられるドライバーの一般道での運転挙動を観測しており,その被験者に対して1年後の教習所における運転技能を観測し,認知機能を改めて調査した.その結果,昨年度実施した一般道での走行において観測された危険挙動についての自覚はなく,運転頻度等も特に変化がなかった.また,教習所での運転についても危険挙動に対する意識は希薄で,本人に運転能力の低下を自覚させるのは難しいことを確認した. ・高齢ドライバーに急ブレーキを踏ませ,その制動距離を観測した結果,認知機能が低下したMCIドライバーの制動距離は,非MCIドライバーと比較して長いことがわかった.また,急ブレーキを踏む条件(30km/hまで上げる)に満たない被験者も,MCIドライバーに多い傾向が見られた. ・高齢ドライバーの運転時に交差点名だけ伝えて右左折させるときの視認挙動を確認したところ,高齢ドライバーは気を付ける交差点のごく手前で存在を確認するため,直近の標識しか見ていないことがわかった. ・ドライビングシミュレータ(DS)での運転評価(反応時間)を認知機能と照合した結果,MCIドライバーの方が運転評価が低く,DSに適応できていないことがわかった. 上記から,MCIドライバーは,運転技能を調査できる状態にすることができず,データが取得できない(正しく評価できない)傾向にあることが明らかとなり,このことが既存の運転評価指標での結果に納得いかない要因となると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢ドライバーもおおむね追跡可能であったため,予定通り継続的な調査が可能であり,有益なデータが獲得できた.身体能力の観測については個人情報と密接に関連するため,取得できるデータと機材を精査することとし,次年度に調査する予定としたが,G-Scan(車載センサ)と急ブレーキの反応時間により,すでに十分な分析はできていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染予防のために実験が難しい時期が続くことが予想されるが,高齢ドライバーの日常運転と自転車利用に関する調査や,運転時の過負荷状態の抑制策についての検証を実施し,運転診断システムの基礎となるデータを取得する.
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