2019 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity, dynamics and function of microbial cell-cell signaling molecules present in activated sludge
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19H02270
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飛野 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (90624916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 典之 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (30292890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クオラムセンシング / アシルホモセリンラクトン / 選択的メタゲノム / 遺伝子発現 / 活性汚泥 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性汚泥微生物叢内に存在する微生物細胞間シグナル物質の多様性を遺伝子レベルで明らかとすることを目的とし、膜分離活性汚泥法リアクター(MBR)から採取した試料に対して、遺伝子キャプチャー法を用いた選択的メタゲノム解析行った。まず、純菌株に由来するシグナル合成酵素遺伝子配列を用いて遺伝子キャプチャー法の条件検討を行った。その結果、プローブと70%以上の相同性を有する標的遺伝子を1000倍以上濃縮可能であることが確認された。次に、データベース配列情報をもとに選別したluxIホモログ遺伝子群を標的とするプローブ群を用い、実験室MBRから採取した汚泥混合液DNAおよび膜面上バイオフィルムDNAに対して遺伝子キャプチャー法による選択的メタゲノム解析を行った。その結果、遺伝子キャプチャー反応を行うことで3~4倍の数のluxIホモログ遺伝子配列数が得られ、より多様な配列を検出することができた。また汚泥混合液とバイオフィルム間で異なる遺伝子構成を有していることも明らかとなった。検出された遺伝子配列の一部を対象として行った遺伝子発現解析の結果から、これらの遺伝子が活性汚泥内で実際に発現していることも確認できた。 質量分析による微生物細胞間シグナル物質の検出方法の検討も進めた。検出感度向上を目指し、MBR処理水に対して固相抽出法による大容量濃縮を実施し、pg/Lのオーダーでの濃度の推移を捉えることができた。また、未知のシグナル物質候補の探索として、アシルホモセリンラクトン様物質のsuspect分析条件の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子側からの微生物細胞間シグナル物質の多様性の解析については、手法の検討から適用、検証までの一連の流れを実施することができ、今後につながる大きな成果を得ることができた。また、質量分析によるシグナル物質の検出においても、今後の長期モニタリングの基礎となる部分の検討を進めることができた。本計画内で予定していた実下水処理場内での専用実験棟の設置についても、諸事情により時期がやや遅れたものの無事設置が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実下水処理場に設置した実験棟でのリアクターの連続運転を開始し、シグナル物質の分析データの蓄積を進める。また、微生物群集組成とシグナル物質濃度との関連に着目した検証実験を進める予定である。しかし、新型コロナ感染拡大の影響により年度末より実験活動が全て停止している状況にあり、事態が長期化するようであれば研究計画に大きな支障が生じることは避けて通れない。活動制限期間中は、既存の報告の精査を進め、活動制限解除後の速やかな実験計画の遂行に備えた準備を進めたい。
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