2020 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity, dynamics and function of microbial cell-cell signaling molecules present in activated sludge
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19H02270
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飛野 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (90624916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 典之 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (30292890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クオラムセンシング / アシルホモセリンラクトン / 活性汚泥 / 質量分析 / 微生物群集組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験室リアクターの連続運転を行い、シグナル物質の一種であるアシルホモセリンラクトン(AHL)類の濃度と膜ファウリングの関係の検討を進めた。フラックスの異なる3枚のろ過膜を浸漬した実験室リアクターを2基用意し、一方にAHL分解細菌封入担体を投入、もう一方は対照系として担体のみを投入して連続運転を行い、膜間差圧、汚泥性状への影響の検討およびアシルホモセリンラクトン類濃度のモニタリングを行った。AHL分解細菌封入担体を投入したリアクターの膜において膜閉塞が遅れる傾向が観察された。処理水からは継続的に6種類のAHLが検出され、汚泥上澄み中濃度と処理水中濃度の比較から、膜上に形成されたバイオフィルム由来と考えられるAHL種が存在することが示唆された。またAHL分解細菌封入担体を投入したリアクターではそれらのAHL濃度が一部低い傾向が見られたことから、AHL分解細菌封入担体によるAHL分解が膜上バイオフィルムの形成を抑制した可能性が考えられた。 外部的なAHL添加が汚泥のAHL分解活性および汚泥中微生物組成に及ぼす影響を検討した。異なる2種類のAHLを異なる濃度でそれぞれ添加して汚泥のバッチ培養を行ったところ、ばらつきが大きく限定的ではあるものの添加する濃度レベル別に微生物組成が変化する傾向が見られた。一方で、汚泥中細胞外高分子成分の濃度やAHL分解速度への明確な影響は見られず、AHLの外部添加が汚泥性状に及ぼす影響は小さいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症感染拡大に伴う種々の活動制限の影響もあり、当初予定していた実下水でのリアクター運転は断念せざるを得ない状況となったものの、人工基質を用いた実験室での運転に方針を切り替え、シグナル物質の動態およびそのプロセス性能への影響解明に資する成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実下水処理場に設置した実験棟でのリアクターの運転は、処理場の設備不良の影響により運転開始の見込みが立っていない状況にある。実験室リアクターおよび実処理施設からの継続的試料採取に方針を切り替え、シグナル物質濃度のモニタリング、新規シグナル様物質の探索、汚泥性状および微生物叢の解析を長期的に実施していく予定である。
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