2019 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的RC建築の耐震性向上に適した変位依存パッシブ可変制振システムの開発
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19H02279
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白井 和貴 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20610968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十子 幸樹 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20521983)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パッシブ制振構造 / 地震応答制御 / 可変摩擦ダンパー / 剛性リセット式装置 / 鉄筋コンクリート構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはこれまでに、ダンパー変位に応じて摩擦力がパッシブに低下する可変摩擦ダンパー(VFD)を考案している。また、研究協力者らはこれまでに、変位依存型のパッシブな剛性リセット式装置(RSD)を考案している。本研究の目的は、小レベルから極大レベルまでの地震動入力に対してパッシブに可変適応する変位依存型の特性を持つ、VFD-RSDハイブリッド制振システムを開発するとともに、これを歴史的鉄筋コンクリート造(RC)建築に適用した際の制振効果を解明することである。本研究では、2019年度に次の内容を実施した。VFDの力学的特性を把握するため、VFD試験体を製作し、動的載荷実験を行った。実験パラメターとして、変位振幅、振動数(載荷速度)、繰り返し回数、摩擦面への導入軸力などを設定した。得られた実験結果に基づき、VFDの荷重-変位関係や各種依存性などに関する基礎データを取得した。RSD試験体については、オープンループとクローズドループの特性の異なる2種類の装置の設計を新たに実施した。解析的検討として、RC建物を想定した非線形トリリニア型復元力を有する主架構の1自由度系にVFDを適用した場合の地震応答制御効果を、非線形時刻歴地震応答解析により調査した。この結果、VFDは、通常の摩擦ダンパーと比べて応答層せん断力の増加を抑制しつつ、ダンパー無しの場合と比べて応答変形を低減できる効果があることが示された。さらに、多層の線形建物の主架構内にVFD-RSDハイブリッドダンパーを設置した場合の応答性状を、非線形時刻歴地震応答解析により調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的には、当初計画と比べて概ね順調に進展している。VFD試験体の製作および動的載荷実験はほぼ計画通りに完了した。ただし、RSD試験体については、設計までは順調に実施したが、その後のRSD試験体製作については、海外(米国)の研究協力者との共同で実施しているため米国企業へ製作を依頼予定であったが、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響を受けたために、次年度に持ち越すこととなった。また、解析的検討については、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
RSD試験体の製作および動的載荷実験の実施については、2019年度中に完了できなかったため、2020年度に実施する計画である。VFD-RSDハイブリッド制振システムの動的振動台加振実験については、当初スケジュールどおり、2020年度に実施する計画である。解析的検討についても、おおむね当初スケジュール通りに実施する計画である。
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