2019 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of reasonable wind-resistant design method of wind turbine with polygonal cross-section modular tower
Project/Area Number |
19H02291
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
金 容徹 東京工芸大学, 工学部, 教授 (30572416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 幸雄 東京工芸大学, 工学部, 名誉教授 (70163699)
松井 正宏 東京工芸大学, 工学部, 教授 (60350576)
吉田 昭仁 東京工芸大学, 工学部, 教授 (90329219)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 風力発電設備 / モジュラータワー / 風洞実験 / 耐風設計法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,多角形断面モジュラータワーを持つ風力発電設備の耐風安全性を検証し,合理的な耐風設計法を確立することである。それを達成するために,2019年度には多角形断面を持つタワーを対象に風圧実験を実施し,タワー部の空力特性を検討した。対象とした多角形断面は,4角形,4角形ヘリカル(ヘリカル角度180度),8角形,10角形,12角形,14角形と円形(計7体)であり,14角形断面は実際にヨーロッパで使われている形状である。上部構造物(ロータとナセル)に働く力は風力実験より別途求めた。それらの風洞実験結果を詳しく検討した上で,ピッチ角90度を対象にFEM解析を行い,タワー部下端における最大縁応力度のタワー形状,アジマス角度(ブレードの位置)及び風向による変化を明らかにした。 2019年度の研究実績として,4年生の卒業研究が3件と国際学会に3件投稿した。国際学会に投稿した論文は発表が決まっていたが,2件は新型コロナウィルスのため,学会がキャンセルとなった。
卒業研究テーマ(3件): 1)多角形断面タワーを持つ風力発電設備の空力特性, 2) 風力発電設備の風荷重の組合わせに関する研究, 3) 多角形断面タワーを持つ風力発電設備の信頼性設計に関する基礎的な研究 国際学会投稿論文(3件): 1) (Cancelled) ISFA2020, Paris, France, 12-14 May 2020, 2) (Cancelled) (BBAA IX), University of Birmingham, UK, 20 - 23 July 2020, 3) IABSE, Christchurch, New Zealand, 3-5 February, 2021.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に2019年度は順調に進展した。2019年度の主な研究内容としてはタワー部に働く局部風圧の検討とFEM解析による応答特性の検討であり,大きな遅れはなくおおむね順調に進めることができた。 定格出力5MW級ピッチ制御型の風力発電設備を対象とし,ハブ高さが120m, タワーの上下端部の直径が6mと4mの風圧模型を製作した。タワー部の断面として円断面タワーを基準模型とし, 当初比較対象の多角形断面を4角形と8角形及び12角形としたが,14角形断面タワーが実際にヨーロッパで使われていることを考慮して14角形断面も対象に入れた(その後,10角形断面も追加)。なお, 4角形断面のみ,ヘリカル角度が180度のヘリカル形状も対象とした。実験時には,タワー部の違いによる風荷重の変化を明確にするため, 同じ上部構造物を用いた。タワー1本あたりの実験パラメータは上部構造物の有無,ピッチ角,アジマス角度と風向である。 なお,風圧実験で得られた多点の変動風圧を層風力に換算し, 3次元FEMモデルに直接入力して時刻歴応答解析を行い, タワー部に生じる時々刻々の応力の検討を行った。本研究は基本的に暴風時を対象とするので,ピッチ角90度を対象に上部構造物の有無,アジマス角度や風向毎のタワー部下端の最大縁応力度を精密に検討した。 FEM解析に用いるため,当初計画していなかった追加の風力実験を行った。タワーに働く力は風圧実験より求めることができたが,FEM解析のためには上部構造物に働く力も必要であったため,上部構造物に働く力を別途実施した風力実験より求めた。風圧実験よりタワー部に働く力を,風力実験より上部構造物に働く力を求めて,FEM解析を行い,タワー部下端の最大縁応力度を用いて,組合わせ係数による風荷重の組合わせを検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には引き続き前年度の実験データの解析と新たな振動実験を計画している。 前年度の実験データを用いて風力発電設備全体の挙動を調べるため,層風力より全体風力を求めて, 実験パラメータによる各方向の空力特性を検討する。また, スペクトルモーダル法より応答解析を行い, 各方向の変位と加速度を定量的に評価することを試みる。 なお,振動実験を実施する。風力発電設備支持構造設計指針・同解説(2010年版)(2010)には風力発電設備の建設時にナセルが設置される前にはタワーの不安定振動を考慮する必要があるとされている。タワー自体は煙突のように細長いので, 建設地の風環境により不安定振動が起こりうる。不安定振動の発生有無を調べるため, 上部構造物のないタワーのみの模型で振動実験を行い, 断面形状の違いによる振動特性を明らかにする。その後,上部構造物を組立てて完成した模型に対して振動実験を行う。実験風速は実際の無次元風速がカバーできるように決める。タワー1体に対する実験パラメータは風圧実験のパラメータにさらに無次元風速が加わる。実験風速の上限値と下限値は実際の無次元風速より決まり,振動特性を詳しく検討するために風速刻みを細かくして実験を行う予定である。
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