2019 Fiscal Year Annual Research Report
地表面付近での粗度効果を反映した竜巻荷重算定法の体系化
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19H02293
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
喜々津 仁密 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 室長 (10370694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 泰雄 国立研究開発法人建築研究所, 構造研究グループ, グループ長 (70201994)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 竜巻 / 突風荷重 / 地表面粗度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は「地表面付近での粗度効果と竜巻状気流の特性との関係」を明らかにするため、文献整理と各種実験から気流特性を把握し、それらの結果をモデル展開に反映する流れで研究を実施した。研究結果の概要を以下に示す。 ・米国や気象庁気象研究所の竜巻観測プロジェクトを通して、国内外で地表面付近での竜巻観測結果が報告されてきており、観測で得た速度分布と気圧降下分布について、竜巻の工学モデルとの適合性に関する議論がされている。そこで、これらの公表論文を調査し、評価可能な観測結果について地表面粗度の実況と竜巻の構造や気流特性との関係を分析した。 ・竜巻状気流発生装置を活用し、地表面粗度の違いを考慮した竜巻状気流下での床面の気圧降下分布を把握した。地表面粗度としては、装置の床面上に立方体のブロック(粗度ブロック)を均等に配置し、その辺長と配置間隔を実験パラメータとした。床面上の風圧分布を風圧実験によって把握し、地表面粗度に関する実験パラメータと各分布特性との関係を実験的に明らかにした。 ・流体の基礎方程式であるオイラーの方程式に実験結果を反映して積分計算し、粗度効果を反映した気圧降下性状を表現できるモデルの検討を行った。まず、方程式を構成する速度ベクトル(接線・動径成分)には既往の可視化実験結果を適用する。次に、竜巻状気流が受ける外力としては、地表面の物体の圧力によって受ける力とその表面での摩擦力によって受ける力の合力となる。しかしそれを直接定量化するのは困難なので、数値流体計算の手法などを参考にして、実験で得た粗度ブロックが気流から受ける抗力の結果と釣り合うとみなし、間接的に外力項を評価することを試みた。 ・上記のほか、2019年10月に千葉県市原市で発生した竜巻による建築物被害を調査し、屋根や外壁等の被害形態を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連する文献調査と竜巻状気流発生装置を活用した風圧実験を実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度から引き続き、地表面付近での粗度効果を反映した気圧降下性状を表現できるモデルの精緻化の検討を行う。具体的には、風圧測定孔が設けられた粗度ブロックを均等に配置した試験体を用いた風圧測定実験を実施し、粗度ブロックの実験パラメータの違いに応じた床面抗力として評価する。そして、その結果をモデルの外力項として組み込むことを予定している。なお、本年度も竜巻による建築物の突風被害が発生した場合には、積極的に現地調査を実施し、被害とその周辺の実況の事例を本研究にフィードバックできるよう留意する。
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Research Products
(7 results)