2019 Fiscal Year Annual Research Report
帯水層蓄熱運用時の帯水層内温度分布の実態把握及び蓄熱井戸間の熱干渉に関する研究
Project/Area Number |
19H02300
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西岡 真稔 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (40287470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 帯水層 / 蓄熱 / 冷暖房 / 水温 / 実測 / パラメータ同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
実運用される蓄熱井戸に対して、距離25mと35mの地点に、観測井を構築した。蓄熱井戸の実運用は、当初10月の予定であったが、運営主体の事情により12月に延期されたので、実運用に開始に合わせて、温度センサーと水位センサーを設置した。蓄熱井戸の注水時に、観測井において,水が噴出するトラブルがあり、水位センサーについては観測が開始できておらず、温度のみを開始している。以上の状況より、2019年度は、地下水熱流動解析ツールFEFLOWによる数値解析を実測に先行して行うことにした。 数値解析では、実測環境に近い井戸配置・深さ、地盤条件、および蓄熱井戸への還水量を設定して行った。帯水層の熱特性と地下水流速については、今後の実測結果を踏まえ同定することとし、数値解析では既往研究から引用した数値を用いた。数値解析による分析の主眼は、従来の観測が蓄熱性のみで得られた観測データから帯水層の熱特性パラメータ(熱分散長)を同定したのに対し、新たに観測井を設置しデータを得ることにより、同定精度を向上することができるかという問への答えを得ることである.同定精度を向上し、これにより、蓄熱塊の広がり、つまり帯水層中の冷水や温水の空間分布に関する実態把握を可能としたい。数値解析の結果から、次の事項が明確となった。 ①熱特性パラメータのうち、熱分散長の他に容積比熱が、蓄熱塊の広がりを規定する重要なパラメータであることがわかった。②観測井位置の水温時間変化をパラメータ同定の条件に加えることで、従来では同定ができなかった容積比熱の同定が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように、蓄熱井戸の運用開始が遅れたために、2019年度の研究内容は、当初に予定した実測データの分析を止めて、数値シミュレーションによるパラメータの感度解析を先行して行うことにしたため、研究予定の順序を入れ替えて、研究を進めている。 井戸の構築、および水温センサーの設置については、概ね予定通りに進み、観測を実施しているが、水温センサーについては、観測井の水噴出のトラブル解消作業と、新型ウィルスの感染拡大等の時期が重なり、観測開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたように、観測開始の遅れについては、観測データの取得後に行う計画であった数値シミュレーションによる解析を先行して行ったため、研究全体の遅れは小さい。 2020年度は、観測井における水位観測を開始すれば、計測データを蓄積することで、2020年度までの研究計画が達成できると考える。
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Research Products
(4 results)