2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of thermal adaptation on cognitive performance
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19H02302
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
西原 直枝 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (90611129)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 温熱環境適応 / 知的生産性 / 熱的快適性 / ライフスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、室内温熱環境を対象とし、居住者の温熱環境適応が快適性や知的生産性に与える影響に着目し知見を得ることを目的とする。温熱環境適応の考え方は、空調制御、衣服調整、活動内容による違いなど、生活者の適応行動にかかわるため、得られる知見は、空調設備等の技術的な基礎データとなるとともに、生活者のライフスタイルをより持続可能にするという視点においても親和性が高い。温熱環境適応が知的生産性に与える知見を得るとともに、持続可能なライフスタイルに関する教材開発を行うことを目的とした。 2019年度は、文献調査等により、熱的快適性研究に基づき、衣服調節、温熱適応等の日常生活における温熱環境適応範囲に関する最新の知見を収集した。また、温熱環境適応が知的生産性に与える影響に関する被験者実験をシドニー大学の研究倫理審査を受け、共同研究を実施した。人間の適応や温度調節可能な範囲をとらえつつ、知的作業時の作業成績や、疲労、メンタルワークロード、主観申告などの測定を同時に行った。執務者のメンタルワークロードの指標として、近赤外線分光(NIRS)を用いた脳内酸素代謝測定を行い、定量的に精神的負担を測定した。今後、データをまとめ、成果公表につなげたい。既往研究の温熱環境適応の観点からの再構築・解析を行い、温熱環境適応の観点からデータをとらえ直し、再解析を行い、国際会議The 11th Windsor Conference on Thermal Comfortに投稿した。また、温熱環境と持続可能なライフスタイルに関する教材開発の基礎となるデータとして、衣生活と省エネルギーに関する考察を行い、国際家政学会の大会IFHE2020に口頭発表として投稿し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初の予定どおりに、順調に進展している。特に、温熱環境適応と知的生産性に関する被験者実験については、シドニー大学で共同研究として実施し、貴重なデータを収集することができた。熱的快適性に関わる内容について、既往研究の再分析を行い、国際会議に論文を投稿し受理されたが、新型コロナウイルスの影響で会議がキャンセルとなった。プロシーディングスのみ最終的に発刊されることになったが、参加登録費や宿泊費等のキャンセルのやりとりが段階的であり複雑だったため行き違いがあり、結果的に論文を取り下げた形として処理されてしまい、プロシーディングスに掲載されなかったのが残念である。この内容は未発表となったので、別の機会に発表していきたいと思う。ライフスタイルと教材研究に関わる内容についても国際会議への論文を投稿しており受理されているが、新型コロナウイルスの影響で、国際会議自体が2022年(予定)の開催に延期された。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に実施した「温熱環境適応が知的生産性に与える影響に関する被験者実験」のデータ解析、分析を行い、人間の温熱環境への適応や温度調節可能な範囲をとらえつつ、知的作業時の作業成績や、疲労、メンタルワークロード、主観申告などについて考察する。近赤外線分光(NIRS)を用いた脳内酸素代謝測定結果から定量的に精神的負担を測定し考察し、得られた結果をとりまとめ、論文発表を行っていきたい。 また、「既往研究の温熱環境適応の観点からの再構築・解析」として既往研究の再分析を行い、得られた知見をとりまとめ、成果発表を行う予定である。
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Research Products
(3 results)