2020 Fiscal Year Annual Research Report
非定常・局所分布環境下で人体の生理、心理、呼吸、生産性を考慮した環境制御法の構築
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19H02304
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
近本 智行 立命館大学, 理工学部, 教授 (60388113)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒューマンファクター / 人体生理モデル / 空調システム / 快適性 / 生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
人体の快適感・温冷感と生理との、時間的・局所的ズレや、人体周辺のCO2濃度の影響を分析した。また、既存人体モデルへの組み込み、実際に感じる快適感の予測モデルにつなげるため、パルス気流制御技術の開発とその制御方法の検討を行った。 ①人体周辺環境の非定常・局所分布を考慮した人体生理と快適性、生産性の検証と、多分割人体体温調節モデルへの組み込み、CO2モデルの追加 『非定常性を考慮した検証』では、多分割人体体温調節モデルへの組み込みのため、非定常な生理的要素が中立温度、快適性へ与える影響を分析した。また人体の温熱・湿度環境に対する許容制御幅を導き出すことで、夏期28℃一定制御ではない、無理のない環境緩和制御を導入することを検討した。『CO2濃度を考慮した検証、CO2モデルの追加』では、人体周辺のCO2濃度変化と生理反応、生産性との関係を検討した。特にCO2濃度の上昇に対する被験者の主観申告、生産性と呼吸・心拍数、血中CO2分圧変化などの観測を行い、その関係性を分析した。 ②個人差に対応したパルス気流制御を基にした空調システムの検討 『人体周辺の温湿度・CO2予測モデルを開発』では、室内の温湿度・空気質の分布を積極的に活用し、完全拡散型空調の無駄をなくし、人体を効率よく冷却・加熱、またCO2除去を行うための人体周辺の温湿度・CO2を予測するモデルを検討した。『パルス気流制御を組み込んだ空調システムの検討』では、LESによる非定常CFDを実施することで、目標に対して精度よく渦輪状の気流を到達させる能力と、必要な熱・新鮮外気の搬送能力を検証した。更に、現在作成済みのパルス制御ユニットのモックアップを改良し、実験室における被験者実験を実施することで、実際に気流があたった時の気流感を向上させるよう検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に続き、人体の快適感・温冷感と生理との、時間的・局所的ズレや、人体周辺のCO2濃度の影響を分析し、実際に感じる快適感の予測モデルにつなげるため、パルス気流制御技術の開発とその制御方法の検討を行った。 ①人体周辺環境の非定常・局所分布を考慮した人体生理と快適性、生産性の検証と、多分割人体体温調節モデルへの組み込み、CO2モデルの追加 『非定常性を考慮した検証』では、VAVを用いた非定常気流を利用した被験者実験を行った。『CO2濃度を考慮した検証、CO2モデルの追加』では、呼吸数を固定した状態で血中CO2分圧(PCO2)、心拍数変化などを観測し、人体周辺のCO2濃度変化と生理量、心理量、作業量との相関の分析を進めた。気流速分布の詳細な測定、気流の詳細な可視化およびPIV測定では、風速計のトラブルおよびレーザー発振器のトラブルが発生し、その修理費用および発振器の置き換えを行い、またコロナ禍で被験者実験を実施しているため、感染防止を徹底した対応をとった。 ②個人差に対応したパルス気流制御を基にした空調システムの検討 『人体周辺の温湿度・CO2予測モデルを開発』に関しては、温湿度・空気質の輸送を予測する対流拡散モデルの開発を進め、その精度検証を実施した。『個人差に対応したパルス気流制御を基にした空調システムの検討』では、パルス気流制御を組み込んだ空調システムの検討を実施した。パルス制御ユニットのモックアップ改良では、パルス気流送出ユニット改修、温熱環境実験室改修を図った。LESによる非定常CFDを実施することで、目標に対して精度よく渦輪状の気流を到達させる能力と、必要な熱・新鮮外気の搬送能力の検証を行った。実験空調機器の製作にあたって、従来制作していた制御ユニットを改良することで転用可能なことがわかり、また当初予定していた外注による製作から、学内での製作に切り替えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、人体の快適感・温冷感と生理との時間的・局所的ズレや、発汗の影響、CO2濃度分布の影響を分析する。更に、既存人体モデルへの組み込み、実際に感じる快適感の予測モデル構築を図る。建物への実装につなげるため空調負荷の空間分布を予測した上で、パルス気流制御技術の開発とその制御方法の検討を行う。 ①人体周辺環境の非定常・局所分布を考慮した人体生理と快適性、生産性の検証と、多分割人体体温調節モデルへの組み込み、CO2モデルの追加 『非定常性を考慮した検証』では、非定常な生理的要素が中立温度へ与える影響を分析することで、実際に感じる快適温度を導出し、多分割人体体温調節モデルへの組み込みを図る。『局所性を考慮した検証』では、刺激の大きい温熱刺激を与えた場合の、人体各部位に与える受熱量・温度と、被験者実験による快適感・温冷感申告を計測し、多分割人体体温調節モデルに組み込むデータを整備する。『CO2濃度を考慮した検証、CO2モデルの追加』では、CO2濃度変化と、血中のCO2分圧をはじめとした生理反応、生産性との関係を検討する。 ②個人差に対応したパルス気流制御を基にした空調システムの検討 『人体周辺の温湿度・CO2予測モデルを開発』では、室内の温湿度・空気質の分布を積極的に活用し、完全拡散型空調の無駄をなくし、人体を効率よく冷却・加熱、またCO2除去を行うため人体周辺の温湿度・CO2を予測するモデルを検討する。『パルス気流制御を組み込んだ空調システムの検討』では、LESによる非定常CFDを実施することで、目標に対して精度よく渦輪状の気流を到達させる能力と、必要な熱・新鮮外気の搬送能力を検証する。更に、実験室における被験者実験を実施することで、実際に気流があたった時の気流感を向上させるよう検討する。
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Research Products
(12 results)