2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on advanced use of BIM to facility life cycle management
Project/Area Number |
19H02320
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
志手 一哉 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (60505353)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | BIM / 分類体系 / 建築仕様 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、コロナウィルス感染症拡大のため、当初計画していた海外での実態調査(米国におけるBIMの動向、シンガポールにおけるIDDの動向)を中止し、BIMにおける建築仕様の活用に関する調査を中心に研究を実施した。 ①英国NBSの仕様書作成システム(NBS Chorus)の調査:NBS Chorusのリバースエンジニアリングを行い、BIMオブジェクトをキーとした仕様書作成システムの仕組みについて整理をした。その中で、BIMオブジェクトを資機材の集合である「システム」として捉え、システムを構成する資機材を仕様書システムで列記し、コンテンツ化された各種の技術文書・資料を各資機材に定義・特記してシステム単位で仕様書をパッケージ化していることを把握した。 ②プロジェクトにおける情報交換の標準形に関する調査:BIMワークフローの国際規格であるISO19650シリーズを読み解き、EIR(Exchange Information Requirement)の手続きについて整理をした。併せて、RIBA Plan of workの各ステージとの関係性、LOD(Level of Detaile)とLOI(Level of Information)との関係性を検討し、各ステージにおける要求水準の提示、それに対する建築的な解の提示、その提案に対する承認という一連の行為を、発注者‐設計者/請負者‐サプライヤーの間でデジタル化することがCDE(Common Data Environment)の本質であるとの仮説を立てた。 ③仕様を段階的に検討するためのWBS(Work Break Structure)を入出力するプログラムの検討:Uniclass2015やOmniClassに基づいて建物情報を分解し、各階層ごとに仕様情報を記述するための仕組みを検討し、検証用プログラムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大により、一部の調査を実施できない状況になっているが、申請時の計画で令和4年度~5年度にかけて予定していた、各種協会・団体と協調した調査研究が進んでいることや、ライフサイクルマネジメントのプラットフォームとした情報共有の仕組みの検討に着手する軌道修正をしたことなどもあり、全体的には概ね順調に推移していると考える。各種の調査については、英国におけるBIMの動向、ISO19650シリーズのワークフロー、分類体系(Uniclass2015、Omniclass)の利用検討、維持保全パラメータのCOBieの分析などを実施しており、申請当初の計画と大差なく進めることができている。 一方で、研究成果の公開については、学術論文として整理することが遅れており、総説や解説での公表に留まっていることが課題である。また、令和元年度の国土交通省建築BIM推進会議の発足、令和2年度の建築情報学会発足など、BIM推進を取り巻く状況や環境が本研究の申請時から急激に変化していることもあり、研究体制を調整する必要が生じていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き、新型コロナウィルス感染症拡大の影響から海外での実態調査ができないことを前提に研究を遂行せざるを得ない。また、BIM推進の状況や環境の急激な変化を受けて研究体制を調整する必要が生じている。このようなことから本年度は、2020年度までに実施してきた調査研究を取りまとめることに注力し、以下の内容を実施する。 ①調査研究成果の取り纏め:研究協力さであるSIT総研グローバル建築技術研究センターを中心に、これまでに実施してきた調査で得ている英国・米国におけるBIMの動向や建築仕様に関する知見を取りまとめた資料を作成する。 ②建物情報DBの試行検証:ライフサイクルマネジメントのプラットフォームとして想定している分類体系に基づいたWBSに関してプログラムのプロトタイプを完成し、サンプルプロジェクトで検証を行う。 ③施設資産評価手法に関する検討:上記のWBSをベースとしたコンポーネントアカウンティングの可能性を調査に着手し、取得原価の詳細化や修繕・改修を資産価値に加味することへにBIMを利用する可能性について検討を開始する。 研究体制については、研究代表者が関与しているBIM推進の各種学協会・団体との情報交換や成果の共有に配慮しつつ、実務ベースで検討する部分と先導的に研究を進める部分を分担する方策を模索する。
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