2020 Fiscal Year Annual Research Report
International Comparative Analysis regarding Environment Management of Inclusive education for children with Profound and Multiple Disabilities
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19H02321
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
菅原 麻衣子 東洋大学, 福祉社会デザイン学部, 教授 (90361790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是枝 喜代治 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (70321594)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 障害児 / 学校施設計画 / カナダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、重度重複障害のある子どもにとってのインクルーシブ教育環境のありようを追究するものである。早くから統合教育を進めてきたイタリア(西欧)、人権・教育保障の法整備を強力に進めてきたカナダ(北米)、高福祉国家かつインクルーシブ教育が進んでいるスウェーデン(北欧)、そして世界の潮流とは異にして特別支援教育に重きがおかれた日本、これら4か国を調査研究フィールドとした。このうち、本年度ではカナダ・日本を中心的に研究活動に取り組んだ。 まず日本での研究活動の成果報告として、2022年9月にUD2022国際会議(Brecia, Italy)に参加し、採用に至った査読付き論文「Accessibility Improvement of Public Schools through User Involvement in JAPAN」を単著で発表した。さいたま市の全小中学校を対象に学校施設のバリアフリー実態調査をまとめたものであり、いまだエレベーターや車椅子対応のトイレが設置が進んでいない実態や、現場の学校職員のバリアフリー改修に関する戸惑いや課題をまとめたものである。 次にカナダでの研究活動としては2023年3月に現地学校調査を実施した。カナダの中でもインクルーシブ教育の取り組みが進んでいるブリティッシュ・コロンビア州のバークレーにおいて、小学校とろう学校が一体化した校舎をもつ学校、および私立の小中高一貫校で障害のある児童生徒も多く受け入れている学校の2校である。授業・施設見学、および学校長・教員へのインタビュー調査を実施した。またろう学校に関連し現地の聴覚障害者団体へのインタビュー、およびバークレー市において障害全般対象とした支援団体の代表者へのインタビュー調査も併せて行った。これらから日本の特別支援教育に一石を投じうる貴重な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ前の当初の計画からすると現地調査実施が大幅に遅れたが、今年度の調査計画に対しては概ね計画を実行できた。日本における研究活動の成果報告を国際会議で発表することができ、カナダでの現地調査においても通常学校と特別支援学校の併設にあたっての計画手法や留意点、また障害のある子どもの受け入れにあたっての体制や環境整備について多くの知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
特にカナダでの現地調査について非常に貴重な情報が得られたため、既往文献と照らし合わせながらこれらの分析考察を研究分担者と共に進め、学術論文にまとめるとともに、国内外で発表の機会を設けていく。また最終的には本研究の全体成果報告となる書籍出版につなげていきたい。
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