2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Mobility of Residential Areas in the Suburb of JABODETABEK, Indonesia
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19H02325
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 友彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40283494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
式 王美子 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (10512725)
松行 美帆子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90398909)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インドネシア / ジャカルタ / 郊外 / 住宅地 / 交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献読解作業や調査協力依頼過程ではインドネシア語と英語の理解が不可欠なため、2020年度も継続して両言語を理解する研究員を雇用し、GISデータの整理および住民の通勤行動に関する行政資料の読み込みとアンケート調査実施作業を行った。 研究の実績は大きく分けて2点ある。(1)特に郊外開発を強く促す低所得者向けの公的賃貸住宅の開発過程の分析を行い、地区属性についてKecamatanと呼ばれる行政区ごとの統計を分析することで、個別開発事例の位置付けを考察した。対象地としては、BODETABEK西部にある「TA」地区すなわち、Tangerang地区等の公営住宅団地を事例として分析を行った。(2)通勤・生活・余暇行動における交通サービス不足解消手段の探索のため、民間データ収集会社に依頼し、BODETABEK地区の交通行動に関するアンケート調査のため年齢別の層化抽出により500票のサンプルを取得し、第一報の研究報告を実施した。データ収集にあたっては無作為に個票確認を行い、適切なデータ確認およびクリーニングを行った。現段階までに行った予備的分析では、距離的には50kmまでの通勤者が74%を占めているものの、自家用二輪車が約6割かつ通勤時間では60分を超える者が約半数を占めており、厳しい通勤事情が見受けられた。 なお、2020年度初頭に予定していたジャカルタ郊外の現地調査は再び新型コロナウィルスの影響で実施できなかったため、現地訪問調査についてはGISデータの取得範囲を広げるなど、より詳細な地理情報分析に切り替えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
取得したデータの解析と論文作成を進め、一定の研究の発表を行ったため。また、GISデータの整理もほぼ終了し、ジャカルタ大都市圏の都市化過程を分析する環境が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画上の研究項目実施のため、2021年度も引き続きインドネシア語を理解する研究員を雇用し、行政資料による小地域データの地理情報システム分析を行う。また、2020年度は民間データ収集会社に依頼し、BODETABEK地区の交通行動に関するアンケート調査を年齢別の層化抽出により500票を取得したので、当該データの分析作業を引き続き行う。今後はさらに、公共交通を主な通勤利用とするかどうかを従属変数としつつ、ロジスティック回帰分析などを行うことで、通勤手段の選択要因について分析し、BODETABEKで展開しつつあるバイクによる通勤行動を公共交通によって代替するための方策について検討していく。なお、BODETABEKの1つであるタンゲラン地区で建設される公共賃貸住宅(ルスナワ)に居住する世帯に対して、当該住宅の選択要因に関する調査を実施することもできた。居住者の重視する項目として住宅の物的環境や交通利便性もさることながら、コミュニティの紐帯の指標となる社会的相互活動(Social Interaction)の重要性が示唆されたことから、インフラ不足や長時間通勤のもたらす外部性を解消する一つの政策的要素として着目していくこととする。
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