2022 Fiscal Year Annual Research Report
建築家村野藤吾における「歴史」「伝統」「過去」についての意識とその表現
Project/Area Number |
19H02329
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
松隈 洋 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (80324721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 拓也 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (40721361)
角田 暁治 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (60379063)
笠原 一人 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (80303931)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 村野藤吾 / 歴史 / 図面 / 写真 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、研究のための基礎資料作成の一環として、対象とする作品を選定し、図面資料の整理・保存作業を行った。作品ごとに分類し、整理カードおよびパソコンでのデータ記入を行い、整理ケースにしまう作業を行なった。また研究対象とする作品を大型スキャナーでデジタルデータ化した。これらの作業に必要な機器は、既存のものを用いた。 また、建築評論家の長谷川堯が残した膨大な量の村野についての資料や村野藤吾旧蔵の資料について、図面資料と同様に重要な写真や文献等の資料の収集と整理作業、デジタル化を行った。長谷川は、村野藤吾を進化論的な様式の発展の概念にとらわれない自由な歴史観を持つ建築家として捉えた最初の建築評論家である。その長谷川の旧蔵資料から、村野藤吾の建築作品のありようを探り、また長谷川と村野との交友関係そのものを明らかにするためである。 長谷川が撮影した村野作品についての約4000枚におよぶ写真資料から、村野が様々な建築様式を自由に融合し折衷した様子が読み取れた。また長谷川が村野の作品に対して、一般的な写真の撮影方法からは逸脱して、自由な構図の取り方で、かつ空間的な奥行き感や重なりを重視するようにして撮影していたことが読み取れた。そこには、長谷川自身が村野の作品に対して自らの視点で自由に向き合っていた様子が読み取れた。すなわち長谷川自ら、モダニズム期の既存の歴史観にとらわれない、自由な歴史観を持ち、それを村野に投影するようにして村野を論じていたことが明らかになった。 これらの成果は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館にて展覧会「村野藤吾と長谷川堯-その交友と対話の軌跡-」(2023年3月22日~6月10日)を開催し、公表した。展覧会の開催に際して、長谷川堯氏の教え子である降旗千賀子氏や佐藤健治氏、また村野家の協力により実現した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)