2019 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半期ドイツにおける住宅政策の理念と実践及びその日本への影響に関する研究
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19H02330
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40324933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 哲 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90455105)
山本 一貴 神戸大学, 工学研究科, 教室系技術職員 (90533977)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 住宅政策 / 住居法 / ジードルンク / 官営企業 / 労働者住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,まずドイツに関するものとして,19世紀末から20世紀初めのドイツの私企業の住宅関係施策について,ライン=ヴェストファーレン経済資料館 (ドイツ・ケルン)において,GHH社アーカイブの文献資料の調査・収集を行った。また,第一次世界大戦前後のドイツの住宅政策の背景にどのような思想があったのかについて,ベルリン国立図書館,ベルリン工科大学図書館(ドイツ・ベルリン)にて雑誌・図書等の文献資料の調査・収集,現地調査をおこなった。 次に,日本におけるドイツの住宅政策や私企業の施策の参照状況に関するものとして,ドイツでは上記のライン=ヴェストファーレン経済資料館,ベルリン国立図書館,ベルリン工科大学図書館,国内では東京都公文書館,国立公文書館,九州大学図書館等で資料収集を行った。住宅政策ではプロイセン住居法などが摂取され,重要な先駆的法制とみなされていたこと,また,日本の住宅政策の基盤を形成した動向の一つとして住宅統計の整備に着目し,その整備の際にもドイツ法制が参照されていたことを把握した。具体的実践の参照状況については,建築学会を通じて発表された調査研究の一つである山田守著『ジードルンク』(1933)に関して,これまでの収集資料を基に追加調査を行うとともに,どのような海外の雑誌記事・図書が参照されていたかの分析を進めた。さらに,企業の海外情報摂取に関して,「近年欧米ヘ派遣セラレタル者ノ外地ニ於ケル視察工場名調」(1929)の整理を通じ,官営製鉄所職員18名の在外研修先等を把握するとともに,日本製鐵発足後の施設拡充を担った進来要について,就業後の知的基盤となった専門分野の学修に関する情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた資料収集は,ドイツでの作業が調査先の都合で一部,持ち越しとなったが,国内での調査と資料の分析は予定以上に進んでいるものもあり,総合的に評価して,おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度前半は収集済み資料の分析・考察を進める。その後順次,戦中期の日本の住宅政策に関して,国立公文書館,国立国会図書館,東京都公文書館などの国内の図書館・資料館での新規および追補の資料収集を行う。年度後半に,1920年代の社会住宅建設に関してフランクフルト市史研究所(フランクフルト),私企業の住宅関係施策に関してクルップ資料館(エッセン),ライン=ヴェストファーレン経済資料館 (ケルン)での調査・資料収集,その他海外事例の現地調査,資料収集を進める予定である。
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Research Products
(8 results)