2020 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半期ドイツにおける住宅政策の理念と実践及びその日本への影響に関する研究
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19H02330
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40324933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 哲 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90455105)
山本 一貴 神戸大学, 工学研究科, 教室系技術職員 (90533977)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近代建築 / 労働者住宅 / 産業都市 / 住居法 / 住宅改良 / 住宅政策 / ジードルンク / 社会住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,ドイツ関連の事項について,同地の資料館,図書館等での資料収集を実施する計画であったが,新型コロナウイルスの感染拡大により,調査が困難になったことから,収集済み資料の分析および国内所蔵の資料収集・分析を中心に研究を進めた。 日本における欧州の住宅建築に関する情報摂取の動向の一つとして,京都帝国大学建築学科1930年度入学者によって結成された団体dezam(デザム,1930-1933)の活動に着目した。これには学生時代の西山夘三が主要メンバーとして加わっていた。dezamは東京の学生建築研究会に加盟するとともに展覧会へ出品し,その出品物の共同制作にあたって海外住宅事情の調査研究を行っている。この調査研究では,米独仏露の建築専門雑誌に加え,複数のドイツの建築専門書籍が参照されており,ここにドイツからの情報摂取が多かったこと,特に,ルートヴィッヒ・ ヒルベルザイマーやアレクサンダー・クラインらの論考などが題材として扱われていたこと等が把握された。こうした調査研究を踏まえてdezamは「日本の工業都市に建つ共同住宅」という題で,理想的ながらも,構造計算まで行った実現可能性のある計画を発表した。各住戸の平面計画についてはクラインによる平面分析の理論を応用するなど,事前の調査研究が大いに活用された。また展覧会に際してdezamが独自に制作したパンフレットには,出品した計画内容とヒルベルザイマー『大都市建築』(1927)の住宅に関する部分の日本語訳が収録された。さらに,西山の記述によれば,1932年5月に,西山は川喜田煉七郎からCIAM第4回会議への報告書制作の依頼を受け,これにdezamとして応えることになった。しかしながら,モスクワで開催予定であった第4回CIAMは延期されたため,dezamの成果が海外に向けて発表されることはなかった。こうした影響関係等が把握された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要欄に記載のように,新型コロナウイルスの感染拡大によって,ドイツでの資料収集・実見調査が実施できなかったことが,進捗の遅れの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染の状況によっては,ドイツの文献資料については,国内から発注できる図書の複写サービスを活用するなど,調査方法を工夫し,また,やむを得ない場合は,分析の主対象をドイツから日本への影響に切り替えるなどで対応する。
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Research Products
(20 results)