2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the enhancement of the safety and assessment of the influences on the surroundings for the manned and unmanned multiple-rotor-type aircraft
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19H02344
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
砂田 茂 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70343415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
得竹 浩 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (80295716)
田辺 安忠 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (80724799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルチロータ機 / 空飛ぶクルマ / 安全 / 風圧 / 騒音 |
Outline of Annual Research Achievements |
(課題1:安全性向上)垂直オートローテーションについては,飛行試験,シミュレーションによって,その可能性を検討し、現在、結果を整理し論文を作成中である。吹き下し速度センサの情報によって飛行制御を行うため、超音波を利用した吹き下し速度のオンボード計測システムを構築した。また、ロータブレード損傷時の吹き下し分布の測定を行った。今後、飛行試験によるロータ故障時の機体ダイナミクスのモデル化、ロータ故障時の着陸制御器の設計へと研究を進める。 (課題2:周辺環境への影響評価)(風圧)数kgのクアドロータ機が地面近傍でホバリングする際の、地面近傍での風速分布を数値計算で求めた。また、その際の必要パワはシングルロータ機の様に高度が減少するに従い単調に減少するのではないことを明らかにした。今後、数値計算によって、空飛ぶクルマ周辺への風圧の影響を整理する。(騒音)数kgのクアドロータ機の1つのロータを対象にし、ロータ周りの多数点での音圧変化を測定した。その結果を数値計算でも求め、測定値との比較を行った。速い吹き下しの中の点では音圧は測定できていないが、測定可能な点では音圧変動の測定値と計算値とが良好に一致した。今後、この計算手法を用いて、空飛ぶクルマ周りの音圧変化を求める。特に、騒音が低い観測者位置や、騒音を下げるためのロータ回転の位相差を検討する。また、複数ロータの干渉や胴体が音圧に与える影響、胴体内の操縦者が聞く騒音も検討対象とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安全、風圧、騒音の3項目で以下の成果を得ており、ほぼ予定通りに研究が進んでいる。 [安全] クアドロータ機を製作し、機体ダイナミクスにおいて重要なパラメータである吹き下し分布とその時間履歴を熱戦流速計で計測した。突風外乱やロータ損傷がある場合の吹き下し分布の時間変化を計測し、突風外乱の方向およびその強さと吹き下し分布との相関を明らかにした。さらに超音波を利用した吹き下し速度のオンボード計測システムを構築し、計測結果から突風外乱を検出可能であることを明らかにした。 [風圧]マルチロータ機において互いに回転方向が異なる隣接する複数ロータが誘起する流れ場は複雑であり、特に地面近くで飛行する際の地面効果もシングルロータのものと異なると考えられる。高度がクワッドロータの周りの流れ場と機体の空力性能に及ぼす影響を、JAXAで開発されたrFlow3Dで調べた。クワッドロータ機の地面効果はシングルロータ機での様に高度が低くなると共に単調に必要パワが小さくなっていくのではなく、必要パワが増える高度が存在するなど、高度に対して複雑な変化をすることが分かった。離陸、着陸時の機体の安定性に影響を与える重要な知見である。 [騒音]ホバリングするマルチロータ機の1ロータ周りの複数の観測点での音圧変化を、JAXAの開発したrFlow3DとrNoiseを用いて求めた。また、同音圧変化をマイクロフォンで測定した。これらの結果を比較し、以下のことが分かった。(1)ロータ面の下方等、ロータの誘導速度の大きい観測点では、計算値と測定値に大きな差がある。音圧の時間変動から、これは測定が正しく行われていないことが原因と考えられる。(2)ロータ回転面と同一平面上の観測点等では高精度の音圧測定が可能で、計算値と測定値に良好な一致が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
[安全]初年度には、ロータ損傷時や突風遭遇時のロータ吹き下し分布の計測と、超音波を利用した吹き下し速度の計測装置の構築を行った。今後は初年度の成果を引き継ぎ、損傷や外部環境によって変化した機体ダイナミクスを安定化するシステムの構築を目指す。そのため、(1)飛行試験によって、ロータ故障時の機体ダイナミクスをモデル化する。(2)ロータ故障時の安全性を向上させるための着陸制御器を設計し、その効果を数値シミュレーションで評価する。 [風圧]地面近くのマルチロータ機の場合、ロータ間の干渉や胴体の影響などから複雑な流れ場が形成されており、地上の人間や物体に当たる風の強さや分布を理解することが運用時の安全性確保の上で必要不可欠である。これまでのCFD解析で得られた非定常性の強い流れ場について、地面に沿う風速分布の詳細を調べ、そのアウトウォッシュの影響範囲を特定する。 [騒音]1ロータ周りの音圧の測定、計算結果の比較から、1ロータ周りの観測者での音圧変化は、数値計算で評価可能であることが分かった。本年度は、本計算手法により、空飛ぶクルマからの騒音を計算する。さらに、複数ロータの騒音は互いに影響して音が増幅されることもあるので、胴体表面上の圧力変動からの音も含めて、複数ロータを有する機体の騒音予測ツールを整備し、地面近くでホバリングする機体からの音の音響場の様子を把握していく。また、特に機体内における乗員が感じる音の最小化方策も検討する。
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Research Products
(2 results)