2019 Fiscal Year Annual Research Report
海流・潮流発電装置の安全性と経済性を両立させる制御
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19H02352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 健 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90183433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巻 俊宏 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (50505451)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋再生エネルギー / 海流発電 / モデル予測制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、制御に関して現有の運動・発電シミュレーターを拡張し、運動と発電の同時制御を実装した。この制御には多くの制約条件のもとでの最適制御を構築し易い「モデル予測制御」を用いた。制御の入力値としてはブレードピッチ角、発電機のトルクを採用した。また評価関数としては対称運動系(上下揺れ、前後揺れ、縦揺れは連成している)と反対称運動系(船首揺れ、左右揺れ、横揺れは連成している)、発電電力と発電機回転数変動の組み合わせを考えた。このシミュレーターを用い、ある流れの条件下において安全を確保するための制御入力値と評価関数の重みの組み合わせの関係を明らかにした。また、正確な制御シミュレーションを実施するために、本研究室の先行実験結果を利用して、制御シミュレーション・コードで使っている翼素運動量理論に実装されている様々な修正法をチューニングし、現有推定法の高精度化を検討した。ただし、これらを運動・発電シミュレーターはに実装するには至っていない。発電機とその制御系のモデル化については、風力発電ですでに実施されているモデル化の文献調査や関係者にヒアリングを行って、増速機や制御系のモデル化を行った。 一方で、来年度に実施予定の模型実験に備えて、回転盤式の代替タービンを開発し、そのスラスト力(抗力)の計測を行った。また、当初は模型メーカに浮体部分の特注模型を発注する予定であったが、ROVの制作等に使われる部品等を利用してインハウス模型を作成した。さらに、その模型と前述の代替タービンを用いて、回流水槽において係留の予備実験を実施し、代替タービンによる姿勢制御の可能性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーターの開発については、予定どおりに従来から開発していたコードをMatlab_Simlinkに搭載し、モデル予測制御を実装することができた。また、それに基づく制御シミュレーションを実施し、モデル予測制御で重要な重みの変更によって制御結果がどのように変化するのか大まかな傾向を把握することができた。この部分は当初の予定よりやや進捗は早い。一方、当初予定していた大きな運動をした場合の流体力についてCFDで求める予定であったが、精度が良い結果が得られなかったため、この部分は実装しないこととした。ただし、制御を行うと大きな運動が生じなくなることから、影響は少ないと思い割れる。また、翼素運動量理論の改善には成功したが、運動制御に対する影響はそれほど大きくないことから、実装していない。この2点は当初の計画と異なる点である。 実験に関しては、インハウス模型を用いることにより経費を効率的に使用することができた。また、代替タービンについても当初の予定より性質の良いものが作成できた。この代替タービンについてはスラスト力の計測も予定通り実施できた。さらに、これを用いた予備実験によって、制御実験が可能なことも確認できた。これは当初に予定していないことであり、模型試験に関しては進捗がとても速い。その他の各種調査については文献調査や関係者のヒアリングなどおおむね予定通り進んでいる。 以上より(2)を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションについては予定通り進捗しているが、当初予定していた翼素運動量理論の改善やCFDによる大変位時の流体力については影響が少ないため、これ以上は追求しないこととする。一方、モデル予測制御については評価関数の重みの選定にノウハウがあり、さらなる検討が必要である。特に、定格流速より低い流速における制御方針が明確ではないので、今年度は流速の遅い場合など様々な流れについて検討し、長期の経済性推定に備えることとする。また、今年度はドライブトレインの数学モデルの実装まで終了したが、さらなる検討のためには発電機の制御システムの数学モデル化も必要な可能性がある。そのため、文献調査やヒアリングにより、数学モデル化を検討する。 一方、模型実験は制御実験の予備実験まで済んでいるので、これを利用して制御実験を実施し、新たな模型試験法の確立に結びつける予定である。特に、ステップ応答を利用したシステム同定は制御における基本なので、シミュレーションと模型実験の両面で研究を進めていく。
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Research Products
(1 results)