2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H02353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多部田 茂 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40262406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 勝紀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70633494)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 魚類の行動 / 海洋構造物 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工構造物による魚類の蝟集には、構造物への付着生物などの餌環境や、捕食生物からの隠れ家効果などが関連している可能性があると考えられている。局所的な水中の魚類の挙動を把握するためには、光学カメラや音響カメラによるモニタリングと画像解析を組み合わせたシステムが有効であると考えられる。人工構造物周辺の魚類の出現パターンを把握するために、東京大学海洋アライアンスが所有する平塚観測タワーの海中部に音響ビデオカメラを約1年間設置して、ほぼ通年のデータを取得することに成功した。また、取得したデータから画像解析により画像内の魚の尾数や大きさ、位置を自動的に抽出する手法を構築した。 広域における魚類分布の把握に関しては、伊勢湾において漁具に環境計測センサーを装着することによって、漁船を用いて海域環境(水温、溶存酸素など)と魚類の分布を同時にモニタリングしている。この伊勢湾における底びき網漁業のデータ5年分を対象に解析を行った。特にマアナゴのCPUEについて、機械学習の1つであるランダムフォレストを回帰に適用したアルゴリズムを用いた推定を行い、年による違いや説明変数の選択等について検討を行った。その結果、水温、DO、水深の各曳網における平均値のみを説明変数とした場合より、それらに加えて操業位置(緯度、経度)、操業時間帯、エサとなる甲殻類のCPUEを説明変数とした場合のほうが精度が向上することなどがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平塚観測タワーにおける魚類のモニタリングについて、ほぼ1年間にわたるデータを取得することに成功するとともに、画像解析によるデータの抽出手法を構築した。また、伊勢湾の底びき網漁船によるモニタリングデータについて、5年間分のデータ解析を行うことによって、環境と魚類密度分布の関係性を把握するとともに機械学習モデルの構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
人工構造物まわりの局所生態系および魚類行動の把握については、平塚観測タワーに音響ビデオカメラと水質計を設置し、人工構造物周辺の魚類の行動のモニタリングデータを取得した。今後はこのデータを解析して、構造物周辺の魚類の出現パターンを抽出し、それらの情報と流れや水質などとの関係を分析し、魚類の行動と環境条件の関連性を調べる。湾灘スケールの魚類動態の把握については、漁具に取り付けたセンサーの情報と漁業者の記録による漁獲量等の情報を取得し、機械学習を用いて環境データから魚類密度分布を推定する手法の構築を試みた。今後は、環境因子と魚類分布の関連性についての解析をさらに進めるとともに、魚類密度分布推定に際して新たな説明変数の導入の検討を行う。また、取得したデータを用いて、低次生態系モデルによる水質シミュレーションの精度を検証するとともに、データ同化等を導入することによってシミュレーションの精度向上を試みる。
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Research Products
(3 results)