2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative photochemical de-NOx at low temperature, no catalyst, and no de-NOx agent
Project/Area Number |
19H02357
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
神原 信志 岐阜大学, 大学院工学研究科, 教授 (80362177)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 真空紫外線 / 脱硝 / 無触媒脱硝 / 反応メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
船舶ディーゼルエンジンのNOx規制対策技術として,波長172 nmの真空紫外線(VUV)による常温・無触媒・還元剤なしで起こる光脱硝装置を開発した。今年度は,素反応解析により,光脱硝反応メカニズムの解明を試みた。詳細化学反応解析ソフトウェアANSYS Chemkinを使用し,反応器モデル,素反応モデル,反応条件を設定し,光脱硝反応の反応メカニズムを推定した。実験結果から反応速度パラメータを算出した。初期NO濃度600 ppm,O2濃度8.0 %,水分濃度7.0 %におけるNO/H2O/O2/N2混合ガス系のNO除去率をガス滞留時間に対してプロットし,素反応シミュレーション結果と比較した。両者は精度良く一致し,VUVの照射によってH2OからHO2, NO3, OHが生成して脱硝反応が起こり,生成物はHNO3, NO2, N2であることがわかった。 なお,本研究で推定した光脱硝素反応メカニズムは,(1)光分解,(2)気相ラジカル反応,(3)オゾン生成・消滅反応,(4)硝酸生成・消滅反応,(5)N2生成反応についてであり,特に光分解反:NO + hν → N + O, O 2 + hν → O + O, H2O + hν → OH + H の速度パラメータの実測結果は光化学反応分野に大いに貢献するものと考える。ただし,光エネルギー(光子数)が反応速度に及ぼす影響は非常に大きく,今後,光子数を速度式に組み込む必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験結果から光脱硝反応による素反応メカニズムを推定できた。計画どおりの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,反応場の光子エネルギー分布を独自の手法で定量化・モデル化し,光脱硝反応メカニズムを完全に解明する。それをもとに,世界初となる3次元熱流体光反応シミュレータを構築する。開発したシミュレータを用いて,光源の配置や反応器容積・形状,排ガス流量をパラメータとして,光脱硝装置の最適設計を行う。
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