2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Pulse Power Purification System of NOx and PM Emission from Ships
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19H02367
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
江原 由泰 東京都市大学, 理工学部, 教授 (40308028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瑞慶覧 章朝 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (00601072)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 船舶 / 排ガス / 電気集塵 / パルスパワー / 窒素酸化物 / 微小粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
船舶からの排出ガスに対する国際的な規制は,今後さらに厳しくなることが予想されている。欧米の一部海域では,粒子状物質(PM)自体の規制が始まり,ブラックカーボン(BC)の環境への影響も懸念されている。船舶の環境保全技術に関して,我が国が先進的かつ主導的な役割を果たすために,NOxおよびBCを含めたPM除去装置を開発することは大変有意義と考えられる。 本研究では,舶用ディーゼル排出ガス中のNOx・PM同時処理技術として,常温から400℃まで適応するパルスパワーを用いた処理システムを構築することを目的としている。パルスパワーは均一で強力な非熱平衡プラズマを発生するため,高温度ガス中においてもスパークせずに安定したプラズマ放電の発生が可能となる。このパルスパワーを電気集塵装置に適応し,NOx・PM同時処理システムの構築を図っている。NOx・PM浄化処理システムは,電気集塵装置(ESPユニット)とプラズマ・触媒ユニットから構成される。ESPユニットでは,パルスストリーマ放電によりPMを捕集する。プラズマ・触媒ユニットは,ブラックカーボン(BC)を含むPMを酸化燃焼する。さらに,排出ガス中のNOもプラズマ・触媒ユニットにおいて除去される。 2020年度は,パルスストリーマ放電の基礎特性として,放電特性に及ぼす印加するパルス電圧の立上り時間の影響などを検討し,最適なパルス電圧波形を確認した。ESPユニットを再構築し,ディーゼルエンジン排ガスにおける高温集塵特性を計測した。ESPユニットにおけるPIV 解析により,印加するパルス電圧の極性や,立上り時間の影響などを検討し,印加電圧と粒子挙動の関係を解析した。さらに,試験パラメータを変化させた,集塵プロセスの3次元シミュレーションを行い,PM粒子の挙動を予測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
船舶用ディーゼルエンジン排ガス用のESPユニット性能向上を目指し,高温度雰囲気下におけるパルスストリーマ放電特性の検討などを行った。高温の排ガス雰囲気下においては,直流コロナ放電のスパークオーバ電圧は低下する。したがって,高効率で安定した集塵効率を確保するために必要な電極構成と,それらの安定コロナ放電領域の把握は必要である。2020年度はパルスパワー型ESPを構築し,排ガス温度400℃の雰囲気下において,安定した集塵運転条件の抽出を行った。また,放電電流に及ぼすパルス電圧立上り時間の影響を検証し,最適なパルス電圧波形の確認などを行った。 一方,パルスパワー型ESP内部の粒子挙動に関して,PIV解析手法を用い粒子速度などの解析を行った。その結果,主流体速度が増加すると粒子速度も増加することが確認され,負極性よりも正極性パルスの方が,より粒子速度を大きくする効果があることが分かった。したがって,高電圧パルスパワーによる粒子荷電においては,正極性パルスを用いることで集塵効率が高くなることが期待された。 さらに,パルスパワー型ESP内の粒子シミュレーション解析も行った。ESPユニット内のパルス放電によるイオン風解析や,主流体流入時の流体解析,粒子挙動の解析などを行い,粒子挙動に対する主流体速度の影響など,有益なデータが得られた。 なお, COVID-19の影響により,研究時間の削減や実験機器の調達遅延などがあり,全体的に研究進捗状況は遅れ気味である。特にプラズマ・触媒ユニットに関しては影響が大きく,前年度からの進展はほとんど見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は昨年度の成果を元に,研究タスクとして下記の3項目を実施し,システム性能の最適化を図ることにした。① ESPユニットにおけるPIV 解析により,帯電粒子の挙動や捕集状態を検討する。また,最適な立上り時間の電圧波形を用い,主流体速度やパルス繰り返し周波数の影響を検討する。さらに,電極間隔や主流体速度を変化させた,集塵プロセスのシミュレーションを行い,PM粒子の挙動を把握する。② 二段式ESPシステムのプロトタイプにより得られた知見によりシステムを再構築し,処理ガス流量やNOx,PM濃度を変化させ,実船化システムの検討を行う。更に負荷変動試験や耐久性等の評価を行い,舶用排出ガス処理として極めて低コストで経済性の高い高効率なNOx・PM浄化処理を目指し,システムのスケールアップに必要な改良点などを検討する。③ プラズマ・触媒ユニットにおいて,各設定温度においてBCやNO除去性能を確認し,触媒に対するプラズマアシスト効果について検証する。 研究代表者の江原は研究計画の実施に関して,NOx・PM浄化処理システムの設計や最適化及び研究統括を行う。研究分担者の瑞慶覧はPM中のBCやSOF,サルフェート成分の測定と集塵プロセスの3次元シミュレーションを行う。
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Research Products
(11 results)