2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and Applied Research on Spatial Design Strategies for Optimal Transport
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19H02374
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 勉 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 義明 筑波大学, システム情報系, 教授 (50183760)
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
渡部 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30435771)
宮川 雅至 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50400627)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 輸送 / 交通 / ルート / 防犯・防災 / 空間設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)拠点・路線配置の最適化:都市や地域の拠点(点的施設)を配置しようとするとき,その背後にある計画理論として,移動費用最小化などの観点から配置を決定する理論的数理モデルについては,多くの既存研究が見られる.これらの考え方を基礎に,路線(線的施設)の配置についても理論的数理モデル,さらには拠点配置と路線配置を同時に決定するモデルを開発し,その特徴を都市内の移動需要の構造や路線の性能などとの関連性に着目しながら解明した. (2)旅客輸送への適用:輸送需要密度の高い都市部では,航空や鉄道などの大量高速輸送機関を頂点として,複雑な階層的輸送システムが構築されている.一方で,相対的に輸送需要密度の低い地方部では,民間による独立採算での階層的輸送は形成しにくく,地域の条件と輸送ニーズに沿った設計が難しいことが多い.こうした人口低密地域における公共交通網形成を例として,乗換や車両サイズ(容量),運行頻度,路線系統の直通性などを考慮に入れながら,バスなどの公共交通のルート設計とデマンド型輸送の最適な組合せなど,輸送方法の合理的な設計方法を開発した. (3)警備戦略への応用:警備は防犯の効果をもたらし,その結果,犯罪のホットスポットは別の場所に移ると考えられる.警備ゲームの理論では,一般に,警備巡回は混合戦略,すなわち警備すべき場所をある確率でランダムに訪問するという均衡をもたらすとされる.そこで,警備巡回ルート戦略と防犯効果や犯罪者の空間分布へ与える影響の解明を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,(a)時系列的輸送プロセスの考慮,(b)ICT技術支援による行動変容の活用,(c)混雑や非常時における戦略的対応の3つの視点からの効率性の追求という観点から,空間移動・輸送の最適戦略に関する理論と応用についての研究を行うことを目的とする.地理情報の整備とビッグデータの時代を迎えて,なくすことのできない空間的な隔たりを効率よく,そして環境に負荷を掛けずに克服するための技術が今後ますます進展を見せようとしている.本研究では,こうした技術の社会的活用の観点から,地理情報科学,都市計画,地域科学,社会工学等の関連分野の研究ポテンシャルを活用して①輸送の最適化とルート設計の理論構築,②人流・物流輸送への適用,③防犯・防災戦略への応用を追求することにより,理論・実践の両側面から分析方法と研究内容の相乗的発展を期待するものである. ①輸送の最適化とルート設計の理論構築については,拠点配置と路線配置を同時に決定するモデルを予定通り開発しており,また,②人流・物流輸送への適用については,旅客輸送への適用を進め,輸送方法の合理的な設計方法を開発しており,さらに,③防犯・防災戦略への応用については,警備巡回ルート戦略と防犯効果や犯罪者の空間分布へ与える影響の解明を進めており,おおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
人口減少・少子高齢化・財政健全化などの社会背景のなかで,時系列的輸送プロセスの考慮,ICT技術支援による行動変容の活用,混雑や非常時における戦略的対応の3つの視点から,ヒトやモノのますます効率的な輸送が追求されることとなると考えられる.本研究課題は,空間移動・輸送の最適戦略に関する理論と応用についての研究を行うことを目的とし,①輸送の最適化とルート設計の理論を構築し,それに基づいて,②人流・物流輸送への適用と③防犯・防災戦略への応用を追求していく.本研究の実施により,輸送からみた都市・国土空間利用が,輸送技術の進展によってどのように再構築されてゆくべきかを提示することを目指す. 令和2年度は,(1)輸送手段と結節点の最適化について,輸送手段の路線形状とそれらを繋ぐ結節点の配置を最適化する数理的モデルの構築に取り組むとともに,(2)ICT活用による物流効率化への適用について,輸送経路の最適化や基幹輸送(ラインホール)と末端輸送(ラストワンマイル)の最適な組合せについて検討を進め,(3)防犯・防災戦略への応用については,避難戦略への応用として,避難場所と避難経路の適切な設定方法の解明に着手する予定である.
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