2019 Fiscal Year Annual Research Report
スパースな地震観測網による地盤-構造物系の地震時挙動の高精度予測手法の開発
Project/Area Number |
19H02400
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
盛川 仁 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (60273463)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 崇 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30637989)
後藤 浩之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70452323)
飯山 かほり 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90711870)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | スパースモデリング / 地震観測 / 物理探査 / 条件付ハザード |
Outline of Annual Research Achievements |
R元年度は本研究の初年度として,当初計画通り,観測および観測記録の高精度化,高効率化に着手した。微動を用いた物理探査手法(微動探査法)ではノイズが含まれない解析区間の自動抽出手法を検討した。検討により,深層学習を用いてノイズの有無を判定する手法が有用であるとの感触を得た。また,観測規模が大きくなるにともなって観測の自由度が失われるため,観測効率が低下する傾向がある。これを解析アルゴリズムの工夫によって観測の自由度を高め,観測を効率化する手法を新たに開発し,数値計算によってその妥当性を確認した。また,観測記録で検証するために地盤構造がわかっている場所で,実際に微動観測を実施して微動記録を収集した(解析は第二年度に実施する予定)。また,地盤ー構造物系の動特性のモデルの統合のための検討にも着手した。 観測網をスパース化しながらも地盤震動の推定精度を損なわない手法を確立することは本研究の大きな目標の一つであるが,そのための手法としてスパース推定に関するミニシンポジウムを主催した(「スパース推定の展開と土木工学 ---疎なデータからどこまで高密度な情報が再現できるか」,共催:土木学会構造工学委員会 構造工学でのAI活用に関する研究賞委員会,山梨大学 工学域スマート社会基盤創造研究ユニット,2019年10月15日,土木学会講堂,東京)。ミニシンポジウムでは会場がほぼ満員となる参加者(68人)を得て,スパース推定研究の第一人者6名による講演,パネルディスカッションを通じて活発な議論を行い,最新の研究成果に関する情報を研究者間で共有した。ここで得られた知見を第二年度以降の研究に活用するための素地とすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では第一年度に最初のテーマ(観測および記録処理の高精度化・高効率化)に着手する予定であったが,これらについては予定どおり実施されている。また,当初計画に加えて今後の研究推進のための情報交換の場としてミニシンポジウムを開催し多くの参加者を得て有意義な情報交換を行うことができ,第二年度以降の研究推進に大きな弾みがついた。これらのことより,本研究はおおむね当初の計画どおりに順調にすすんでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
観測の効率化のために新たに開発した手法の妥当性を実記録を用いて評価するために第一年度で行った観測によって得られた記録の解析を行い,適切な結果が得られるか確認する。 また,第二年度からは地盤ー構造物系の動特性のモデルの統合に関する課題に関連して,地盤ー構造物系の動特性を直接同定する手法としてFDD (Frequency Domain Decomposition)法の適用性について,第一年度に引き続き検討を進める。さらに,物理モデルの妥当性を問わずに観測記録に基づいて現象をよく説明するパラメータの値を決定する方法に着手する。このためには適切と考えられるが本当に正しいかどうかわからない構造物のモデルを構築した上でそのモデルのパラメータの値をランダムに変化させた際の応答を大量に作成して学習のためのデータとし,深層学習の手法,あるいは分類のための数理的手法を用いて,観測記録のなかかから最も適切と思われるパラメータのセットを選択する手法について検討を始める。
|