2021 Fiscal Year Annual Research Report
スパースな地震観測網による地盤-構造物系の地震時挙動の高精度予測手法の開発
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19H02400
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
盛川 仁 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (60273463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 浩之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70452323)
飯山 かほり 鹿島建設株式会社(技術研究所), 土木構造グループ, 上席研究員 (90711870)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スパースモデリング / 地震観測 / 物理探査 / 条件付ハザード |
Outline of Annual Research Achievements |
第二年度までに「観測および記録処理の高精度化・高効率化」および「地盤ー構造物系の動特性のモデルの統合」を中心に実施した。後者については地盤と構造物の連成系をモデル化することが最終目標であるが,第二年度では,地盤と構造物それぞれについてのモデルの高度化を行った。第三年度であるR3年度は地盤ー構造物系の統合にあたって,個別にモデル化を検討してきた地盤と構造物の連成系について,両者のモデル化において有効な手法であることが明らかとなったFDD(Frequency Domain Decomposition)法の適用性の検討に着手した。その検討を通して地表および構造物上に設置された微動記録に対してFDD法が適用可能であることが明らかとなった。すなわち,構造様式の変化に伴い構造物の動的応答特性の変化を正しく追跡できること,特定の条件のもとでは地盤の振動モードが卓越しそれをFDD法により正しく同定できることを示した。 また,「観測網のスパース化」にあたって少ない数のパラメータから構造物の動特性を表すには事前に大量の理論計算を実施し,入出力関係のデータベースを作成しておき,そのなかから観測値を最もよく説明するモデルを選択することによって,適切なモデルを得るという手法が有効であることが明らかとなった。これによりスパースな観測網から得られた観測記録を用いて現象を説明しうるモデルの同定の実現可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに得られた観測記録を用いて主として解析を実施することでコロナ禍にあっても研究を進めることができ,FDD法の適用性および観測網のスパース化のために利用可能な手法の方向性を見出した。そのため,おおむね当初計画どおりにすすんでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
第三年度までに観測および記録処理の高精度化・高効率化および地盤ー構造物系の動特性のモデルの統合を中心に実施した。後者については第三年度において個別にモデル化を検討してきた地盤と構造物の連成系について,地盤および構造物のモデル化において有効な手法であることが明らかとなったFDD (Frequency Domain Decomposition)法が地盤-構造物系にも有効であることを示した。第四年度も引き続きこれらの検討を続け,より高度なモデル化を目指す。 また,観測網のスパース化を中心に検討することとし,第三年度に引続き,構造物のモデル化を対象として,動特性を表わすパラメータを少ない数のセンサーで決定するための手法の高度化に取り組む。 なお,第四年度は第二年度までの研究分担者が海外での長期滞在から帰国したため研究分担者として復帰し,昨年4月に研究代表者と同じ研究室に着任した者を研究分担者として追加する。地盤構造の同定および物理探査技術にかかわる課題については研究代表者のが,深層学習等を含むデータ処理にかかわる課題,物理モデルを介さない地盤モデルの表現,FDD法の拡張と構造物のモデル化にかかわる課題は分担者と協力者が担当する。
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Research Products
(12 results)