2020 Fiscal Year Annual Research Report
Hazard forecasting method by development of standard model of volcanic eruption
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19H02404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井口 正人 京都大学, 防災研究所, 教授 (60144391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 火山噴火 / 火山性地震 / 地盤変動 / テフラ / 火砕流 / 溶岩流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年12月にスメル火山において流下距離16㎞に達する火砕流が発生した。この火砕流は、溶岩ドームの崩落により発生したが、過去の文献や、地震活動・噴火活動を調査することにより、噴火に先行する地震活動のエネルギーに依存する噴火規模の標準モデルを改訂した。従来のモデルでは噴火発生前の1年間の地震エネルギーが噴出物量の上限を与えることとしたが、この火砕流に先行する地震エネルギーは小さく、溶岩ドームが成長を開始した2009年以降の地震活動でも噴出物量の上限は23万立方メートルにしかならず、火砕流の量の600万立方メートルよりもはるかに小さい。溶岩ドームの成長率は6千立方メートル/日と他の火山のドーム成長率よりも小さいことから、マグマの貫入速度が小さいときは、破壊現象(火山性地震)を起こさずに上昇することが推定され、噴出物量の上限を与えるには適切でないことが分かった。 この場合、溶岩ドームの量から崩壊しうる量を推定する必要がある。2017年時点の溶岩ドームの体積は1700万立方メートルであり、火砕流発生直前には2300万立方メートルまで成長したと推定される。崩壊量は600万立方メートルなので、約1/4が崩壊したことになる。また、過去の同等規模の流走距離(9㎞以上)をもつ火砕流についても調査した。1967年以降、4回発生しており、崩壊量は約600万立方メートルであった。いずれもジャワ島の雨季において発生しており、崩壊の原因として多量の降雨が推定される。2021年12月の火砕流の崩壊量は過去の火砕流と同等であるが、流走距離が長い。この原因として、間隙水が豊富に含まれている谷の渓床に堆積した土砂に高温の火砕流が触れて、間隙水が瞬時に蒸発することにより火砕流の摩擦係数が低下したことが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年12月に発生したスメル火山の火砕流噴火により、従来のモデルの再検討を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地における情報収集を進める。
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Research Products
(2 results)