2020 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of an asperity model considering depth dependency of stress drop for more quantitative strong motion simulation
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19H02405
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川瀬 博 京都大学, 防災研究所, 特任教授 (30311856)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動的破壊モデル / 断層運動 / 滑り量分布 / アスペリティ / 滑り速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
定量的かつ広周波数帯域の強震動予測を可能とする次世代型強震動予測レシピを提案するために、これまで熊本地震の動的破壊解析で適切な断層パラメタ範囲を求め、そのパラメトリック解析を実施してきた。20年度と研究費を繰り越した22年度には以下のような検討を行った。 (1)熊本地震を対象に動力学モデルによる適切な震源パラメタ範囲を探索した。用いたのはPitarka et al. (2009)の滑り弱化モデルによる有限差分法である。熊本地震本震に対する運動学的インバージョン結果を参照してモデル(応力アスペリティ)の探索範囲を構築した。日奈久断層上のセグメントに1つの応力降下量の大きな応力アスペリティ(HSDA)を置き、布田川断層上側に上下に2つのHSDAを配置した。観測波形への適合度評価にはPGVと相互相関係数CCCからなるハイブリッド判定関数を用いることにし、計1520個の震源破壊シナリオから最適なモデルを探索した。得られたモデルのうち残差が最小のトップ10モデルはいずれも布田川断層側の西側寄り、あるいは中央部近傍に大きなHSDAを有するモデルとなった。 (2)今回のランダム・サーチでは設定した探索範囲のシナリオはほぼ探査しつくしたので、その結果として20地点では良好な結果が得られたものの、残りの6地点ではよい結果を得ることができなかったことから、西側の熊本平野南西部での地下構造を見直すため強震観測点で微動観測を行い経験的なサイト増幅特性を評価した。 (3)地下構造によるサイト増幅特性の広域の評価を行い面的に強震動予測を行うために、日本全国の強震観測データからスペクトル分離解析によりサイト増幅特性を把握し、それと地下構造情報から地震観測をしていない任意地点のサイト増幅特性を把握するための予測スキームの構築に取り組んだ。その結果従来のVs30単独で予測するより高精度な評価方法を構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画よりも熊本地震への解析パラメタの検証に重点を置き、その滑り速度を定量化することに注力した。その結果ある範囲のパラメタを与えれば安定した滑り速度と地表面速度が得られることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
より長大な断層、より短小な断層をモデル化してスケーリング則の範囲を拡大するとともに、地下構造の予測するスキームをさらに高度化する。
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