2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high-performance thermoelectric material, high-critical-temperature superconductor and new topological insulator using semiconducting quasicrystal
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19H02414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 薫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30169924)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 準結晶 / 半導体 / 第一原理計算 / バンドギャップ / 熱電特性 / 静電浮遊法 / 過冷却液体急冷 |
Outline of Annual Research Achievements |
A) Al系正20面体「半導体準結晶」の創製と熱電物性評価 今年度は、世界で初めて創製に成功したAl-Ru-Si1/0近似結晶への元素置換を行い、キャリア密度制御による熱電特性の向上を目指した。無置換では、無次元熱電性能指数 zT の最大値は 350 K において zT=0.03 と低い値であった。p 型熱電特性の最適化を目指し、Alの一部をCuで置換した結果、ドープ量の増加に伴って σ の増加と S の減少がみられ、ホールドープが確認でき、zT の最大値は 500 K で zT=0.2 まで増大した。Cu ドープによる電子状態の変化を考察するために、第一原理計算で得られた電子構造を基に、リジッドバンド近似の下で、正孔密度とバンドギャップをパラメータとして S, σ を計算し、実験結果と比較した。正孔密度を増加させるとともに、バンドギャップを減少させて計算した S の温度依存性は、実験値を定量的に再現した。これにより、Cu は正孔密度を増加させるホールドーパントとして有効であるが、バンドギャップを狭めてしまい、zT の最大値を減少させる効果もあることが分かった。そこで、第一原理計算により、Ruへの遷移金属置換においてバンドギャップの減少が無いことを確かめたMnとRh置換を行った。その結果、zTの最大値はMn、Rh置換でそれぞれ、p型で0.16 (400 K)、n型で0.25 (400 K)まで向上させることに成功した。
B) B系正20面体「半導体準結晶」の創製 今年度は、昨年度に第一原理計算により準安定相として存在の可能性を明らかにしたβ型1/1近似結晶や準結晶の実現を目指して、静電浮遊法を用いた過冷却液体急冷を行った。その結果、準安定相であるα正方晶と未知相の生成を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半導体準結晶の創製には成功していないが、世界で初めて創製に成功したAl-Ru-Si1/0近似結晶において、AlのCu置換、RuのMnやRh置換により、p型とn型の両方で、無次元熱電性能指数が0.2程度の材料を開発することに成功した。これは、Al系準結晶や近似結晶で、最も高い熱電性能に匹敵し、p型とn型の両方が得られたことで、今後、熱電モジュールの試作に進むことが可能となったことは、大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
A) Al系正20面体「半導体準結晶」の創製と熱電物性評価 より近似度が高く、第一原理計算によりバンドギャップの存在を明らかにした、Al-Pd-Ru系2/1近似結晶と準結晶において、キャリア密度の最適化により、半導体を実現する。得られた半導体の熱電性能を最適化する。
B) B系正20面体「半導体準結晶」の創製 静電浮遊法とハンマークエンチ法を組み合わせた装置を用いて、純ボロンの過冷却液体急冷により、準安定相のα正方晶ボロンと共に得られた、未知相の構造解析を進める。
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Research Products
(9 results)