2020 Fiscal Year Annual Research Report
多目的in-situ分析による応力誘起マルテンサイト変態理論の再定義
Project/Area Number |
19H02417
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田原 正樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80610146)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルテンサイト変態 / 形状記憶合金 / 応力誘起変態 / チタン合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は応力によって誘起されるマルテンサイト変態の結晶学的特徴が、従来の定説と全く異なるものであることを新たに発見した。本研究ではどのような条件でどの程度差異が生じるのかを実験的に詳細に解明し、その具体的機構を明らかにすること、さらにこれらから得られる知見をもとに超弾性の機能劣化の克服が可能であるかどうかを検討することを目的とする。具体的には、チタン系形状記憶合金の単結晶試料を作製し、応力下でEBSD観察やECCI測定、光学顕微鏡による2面解析など多数のin-situ測定を同一の試料で行い、これまで検討されてこなかった応力誘起変態の詳細な結晶学的特徴を徹底的に明らかにする。 多目的In-situ測定を実施するための治具をR1(2019)年度に作製し、測定環境の構築を中心に行った。R2(2020)年度は作製した治具を用いて、応力誘起マルテンサイトのIn-situ測定を実施した。その結果、当初の想定どおり、応力誘起変態における結晶学的特徴は従来の定説とは大きく異なることを再度確認できた。さらに、応力誘起変態を生じているその場での結晶構造解析の結果、両相の構造が熱誘起変態から想定されるものから大きく異なることが明らかになった。加えて、それらの結晶構造は応力誘起変態の進行に伴い、徐々に変化していることも分かった。このような構造変化が従来の定説を覆す特徴を発現させる主因であると考えられる。当初の想定以上に研究は進展しており、R3年度は他の合金系への展開とと超弾性機能との関係性についての解明を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R2(2020)年度の予定であった、In-situ治具による応力誘起マルテンサイトの詳細な結晶学的解析は順調に進展し、R3(2021)年度の主たる目標であった、定説からのズレの原因解明についても既にめどが立った。よって、現時点で本研究は当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の想定以上に研究が進展しているため、R3(2021)年度は本研究で発見した知見を他の実用合金系へ展開し、理論の一般化を図る。さらに、応力誘起変態が主役となる超弾性機能の劣化機構の解明にも取り組む予定である。並行して、R2(2020)年度に得られた成果の発表準備も進める。
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