2020 Fiscal Year Annual Research Report
Building theory for dynamics of thermoelastic martensitic transformation
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19H02418
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新津 甲大 京都大学, 工学研究科, 助教 (90733890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルテンサイト変態 / 等温変態 / 熱活性化機構 / 超弾性 / 変態ダイナミクス / 熱力学 / 動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、ベンチマーク合金であるTiNi合金およびメタ磁性マルテンサイト変態を示すNi-Co-Mn-In合金を対象とし、その応力誘起・磁場誘起マルテンサイト変態における等温変態挙動を詳細に調査した。TiNi合金は液体ヘリウム温度近傍まで冷却可能な冷却チャンバーを用い室温以下の種々の応力・温度条件下で等温保持を行い、等温マルテンサイト変態挙動を得た。Ni-Co-Mn-In合金については超伝導量子干渉磁束計(MPMS)を用い、種々の温度・磁場環境下での変態挙動を得た。等温保持による変態挙動は磁化の時間変化から体積分率を得ることにより観測した。 その結果、両合金において低温ほどヒステリシスが大きくなる挙動が確認され、晶癖面移動の熱活性化過程が顕著であることが確認できた。このような合金系では等温変態も顕著であることが推測されるが、実際に顕著な等温変態が観測された。その挙動は従来理論ではTTT線図にてCカーブを描くとされていたが、本研究では正変態ではCカーブ、逆変態ではCカーブの下部のみ、という結果が得られた。これについては晶癖面移動の熱活性化過程を記述する理論式と、平衡条件を記述するClausius-Clapeyron式を組み合わせた微分方程式を時間について解くことで定量的に説明可能であるとわかった。 これらの知見をもとに界面掃引(成長)ダイナミクスを記述する理論を構築することに成功しており、現在は論文化を進めている段階にある。またMPMS内で圧縮試験が可能なロッドの設計・作製も完了しており、同ロッドを用いての温度・磁場・応力3変数環境下での相変態ダイナミクスの研究環境が整いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度まででほぼ実験を完了させ、論文投稿に向けた理論構築と解析を進めている。解析についても当初の予定通りの知見が得られており、論文投稿も次年度内に完了できる算段が付いた。実験面では、磁化測定のマシンタイムを活用することでサイクル特性や転位組織の発展、核生成サイズの統計的極値解析などを行っており、当初の予定を上回る進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
年度内に当初想定分までの実験成果について論文投稿を進める。 実験面では、磁化測定のマシンタイムを活用することでサイクル特性や転位組織の発展、核生成サイズの統計的極値解析などを行い、今後の発展を見据えた研究に取り組む。 理論面では第一原理計算を中心としてEnergy LandscapeやEnergy pathwayの評価法の確立に取り組む。これらは今後の理論研究の土台となるとともに、本プロジェクトに通底する量子論的理解を助けるものとなると期待している。
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Research Products
(11 results)