2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of novel piezoelectric responses in highly conductive materials
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19H02424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 雄毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10633969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 晋太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00525355)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 磁気圧電効果 / 圧電効果 / 磁性 / 対称性の破れ / 電気磁気効果 / 金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
「伝導を有する物質は優れた圧電材料になり得るのか。」本申請課題はその問いに答えを出し、伝導系圧電材料の開発およびその基礎学理の構築を目指している。 これまでの研究で、空間反転対称性と時間反転対称性が両方破れた磁性金属において、磁気圧電効果(magneto-piezoelectric effect)と呼ばれる新しい物理機構の圧電応答を実験的に開拓した(Y. Shiomi et al. Phys. Rev. Lett. 122, 127207 (2019))。この現象の観測は本課題で主な達成目標とした現象である。当初の実験では研究分担者の石渡らが作製したEuMnBi2試料を用いたが、その後、CaMn2Bi2においても同様の磁気圧電効果の信号が得られることを見出した(Y. Shiomi et al. Phys. Rev. B 100 054424 (2019))。特に、CaMn2Bi2においては磁気転移点が約150Kであり転移点をまたいだ詳細な実験が可能であり、実験の結果、磁気転移点付近で磁気圧電効果信号が顕著に増大することを明らかにした。圧電効果としての効率を見積もると、従来の圧電材料に匹敵する可能性が明らかとなったため、新しい圧電材料開発の指針になり得ると考え、集中的に磁気圧電効果の研究を行った。当初用いたEuMnBi2においても、本課題において導入した低温設備を用いて液体ヘリウム温度まで冷却して温度範囲を広げた再測定を行った。結果として、最初に報告した結果をほぼ再現するとともに、より低温に向かうと磁気圧電効果の効率が大きくなっていくことがわかった(論文投稿中)。効率は従来の圧電材料に匹敵するレベルであった。 来年度は、測定系の改良をさらに進めつつ、物質系を拡げて磁気圧電効果の測定を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題で大きな目標の1つとして掲げていた磁気圧電効果の観測を、初年度に達成することができた。また、本課題で導入した設備を用いて液体ヘリウム温度までの低温測定も達成している。物質を変えた実験もトライし、異なる物質で実験結果を再現できており、順調に研究が進んでいる。特筆すべきこととして、磁気圧電効果の圧電効果としての効率が、当初の予想よりも高く、圧電材料開発の新しい指針となり得ることがわかってきた。以上より、研究は予定よりも順調に進展しており、また基礎物理のみならず応用物理上も重要な研究成果となり得る可能性が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も、磁気圧電効果の研究を集中的に行う予定である。本課題で世界で初めて観測に成功した磁気圧電効果は、物理的に新しい現象であり、その機構の解明は磁性絶縁体における電気磁気効果とも関連しており興味深い。また、応用物理の上でも、圧電材料開発の新しい指針となり得るほどの高い効率を有する。 次年度は、より正確な磁気圧電効果の見積もりのために、測定系の改良を行っていく。また、物質開発により、室温・高効率化にも取り組みたい。研究分担者の石渡と連携して、研究を行っていく。
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