2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of novel piezoelectric responses in highly conductive materials
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19H02424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 雄毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10633969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 晋太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00525355)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 磁気圧電効果 / 圧電効果 / 磁性 / 対称性の破れ / 金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに本研究課題において世界で初めて磁気圧電効果の観測に成功している。今年度は、研究分担者の石渡のグループが合成したEuMnBi2単結晶試料において、4Kまでの低温下で磁気圧電効果の詳細な測定を行い、論文として出版した(Sci. Rep. 10, 7574 (2020))。低温に向かって磁気圧電信号が増大することを見出した。最低温での有効圧電定数は、実用材料の圧電定数に匹敵することが明らかとなった。 一方、低温下での実験技術を確立する過程で熱安定性の問題など幾つか技術的な課題が見えてきた。試料の固定法の改善などの試行錯誤の結果、比較的定量性の再現性良く測定が可能になってきた。このような測定の高精度化により、有効圧電定数の正確な見積もりが可能になると期待され、物質パラメータとの相関など物理の理解を深めていく。 さらに、電磁石を導入することで外部磁場下での測定が可能なシステムの構築に取り組み、圧電効果の磁場依存性を計測できるようになった。伝導性のある試料では磁場の存在下でローレンツ力による外因的な要因による振動が圧電信号に重畳することが明らかになった。一方、マルチフェロイクスと呼ばれる強誘電性を有する磁性絶縁体の物質群は、そのようなローレンツ力の心配なく圧電効果の磁場依存性を計測できる恰好の系である。実際に、研究分担者の石渡のグループで作製したマルチフェロイクス試料において圧電効果の磁場依存性の研究を進めており、新奇な磁場圧電応答が見え始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
伝導性物質における新しい圧電効果応答として、本研究課題の主な目標の一つであった磁気圧電効果の観測に成功し、さらに測定系の改良により再現性・信頼性の良いデータの取得が可能になってきた。最終年度においては、これらの実績に基づき、さらに進んだ研究が可能な状態になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はこれまでの研究実績に基づき、特に圧電効果の外部磁場応答に着目して、新奇な物理現象の開拓に挑む。研究分担者の石渡が専門としてきたマルチフェロイクス系物質をはじめとして、低対称磁性金属におけるトポロジー起源の圧電効果の観測などを目指す。
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