2020 Fiscal Year Annual Research Report
ニオブ系無鉛圧電セラミックスの高負荷耐性と酸素欠陥分布
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19H02431
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335089)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境材料 / セラミックス / 電子・電気材料 / 無鉛圧電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧電セラミックスの機能は、電気分極の向きが異なる領域(ドメイン)を隔てるドメイン壁の移動や回転といった運動と密接に関係するが、その動きは欠陥や不純物によって容易にピン止めされる。本研究では、斜方晶由来のCharged(荷電)60°ドメイン壁をもつニオブ系無鉛圧電セラミックスを対象にする。ニオブ系は自発分極起源のNbO6八面体サイトと、これと電気的中立条件を満足するためのアルカリ元素から構成されたI-V系ペロブスカイト酸化物である。このニオブ系をモデル材料として、先端機器分析の相補的な組み合わせによる状態解析を行い、その評価解析結果を通じて、圧電体の疲労現象と酸素欠陥との関わりについて調べ、高負荷耐性の向上に結びつける新たな方策を探求する研究を実施する。 そこで、この上記目的を達成するために、今年度は特に外国および国内の研究協力者らと共同で機器分析評価を集中して実施した。その結果、繰返し電界印加したニオブ系試料では、インピーダンス分光分析によって、特に粒界箇所において疲労現象が顕著であることを新たに認めた。繰返し電界負荷試験中に生じた、粒子間の摩耗による機械的損傷、および酸素空孔等の蓄積による空間電荷分布の形成が、インピーダンス図形に変化を及ぼしたものと考察した。一方、圧縮応力下における電界誘起ひずみ計測において、応力印加に伴うドメイン構造の面内配向と、高電界印加に伴うドメインの面外配向の競合関係に由来する現象の計測に成功し、非180°ドメインの面内配向が起こる領域と圧電定数が極大値をとる応力がおよそ一致することも確かめられた。 以上の評価結果等を通じて、ニオブ系特有のドメイン壁や粒界近傍におけるアルカリイオンの動きや酸素欠陥分布の評価を進め、以上の過程で得られた成果をとりまとめて、成果発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度目的として掲げたニオブ系特有のドメイン壁や粒界近傍におけるアルカリイオンの動きや酸素欠陥分布の評価において、多数の対外発表成果を得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
特に強誘電性ドメイン構造の観察と評価を集中して実施し、ドメイン壁の形成の様子を体系的に調べ、荷電ドメイン壁の分布との比較等によって、ニオブ系の圧電特性と高負荷耐性を支配する諸因子の解明に取り組む。
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Research Products
(12 results)