2021 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド法による海島構造制御を通じた高性能硫化物系ナノコンポジット熱電材料の創製
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19H02440
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
前之園 信也 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00323535)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱電材料 / ナノ粒子 / ナノコンポジット / 階層的欠陥構造制御 / ナノインクルージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
CuFeS2と、ZnまたはSeをドープしたCuFeS2(Cu1-xZnxFeS2、CuFe2S.1.5Se0.5)ナノ粒子を湿式法により化学合成した。これらのナノ粒子を500℃で15分間、300MPaの圧力でホットプレスを行い、ペレットを作製した。330~675Kの温度領域におけるペレットの熱・電気輸送特性を測定した。Znのドープ量を変えて性能を評価したところ、最も高い電気伝導率と出力因子を有する組成はCu0.85Zn0.15FeS2であることが分かった。また、CuFeS2の熱伝導率は閃亜鉛鉱型結晶構造に由来して先天的に高く、Seをドープすることで熱伝導率を低減することが可能であることが分かった。 そこで、Cu0.85Zn0.15FeS2を海にCuFe2S1.5Se0.5を島にしたナノ構造熱電材料を作製し、性能評価を行った。ペレットは質量比が9:1となるようにCu0.85Zn0.15FeS2とCuFe2S1.5Se0.5を配合し、ホットプレスをすることで得た。電気伝導率は高い値を維持できたが、熱伝導率が期待どおりには下がらなかった。結果として海島構造を有するペレットのZTはCuFeS2やCu0.85Zn0.15FeS2と比較して向上せず、662KでZT=0.17であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、4種類のp型硫化物ナノ粒子と3種類のn型硫化物ナノ粒子を組み合わせ、多種多様なホスト-ナノインクルージョン構造を有するp型及びn型ナノコンポジット熱電材料を創製することを目的としている。 令和3年度は、主にCuFeS2系ナノ粒子の組成に着目し、原子・ナノスケール欠陥構造が電気伝導特性に及ぼす影響について検討を行った。また、Cu0.85Zn0.15FeS2ナノ粒子とCuFe2S1.5Se0.5ナノ粒子を9:1の割合で配合することでメソスケール欠陥構造を制御し、熱電特性を変調することを試みた。 以上、基本的には当初の計画に沿って研究が進展しており、新型コロナ感染症の影響は若干あるものの、研究全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、ZTの向上に重きを置き、SnSe(1-x)S(x)系ナノ粒子の化学合成および熱電特性評価と、それらを用いたホスト-ナノインクルージョン構造を有するナノコンポジット熱電材料を創製する。ナノ粒子の組成、大きさ、形状を変化させることで原子・ナノスケール欠陥構造を精密制御する。また、ナノインクルージョンとなるナノ粒子の凝集状態と配合比を変化させることでメソスケール欠陥構造を制御する。
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