2019 Fiscal Year Annual Research Report
Formulation of design criteria and improvement of durability of carbon fiber reinforced composite joint subjected to in-plane and out of plane loading.
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19H02448
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大窪 和也 同志社大学, 理工学部, 教授 (60319465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小武内 清貴 同志社大学, 理工学部, 准教授 (30614367)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化複合材料 / 接合 / 面内および面外荷重 / 設計規準 / 耐久性 / 微細繊維 / 接着強度 / じん性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,平板を用いた2次元的に単純な継手構造だけではなく,CFRP(炭素繊維強化プラスチックス)を用いた実用的に広範囲な種別の接合構造を想定し,その全般を含むような接合構造の強度設計手法と設計規準を社会に提唱すると共に,長期使用に対する疲労耐久性を高めるための新技術を社会に提供し当該の学術・産業分野に貢献する事を目的として研究を開始した.この初年度においては,研究開始の前年度まで行って来た研究課題(「ボルト締結した炭素繊維強化複合材料の耐久性の改善と設計規準の確立」:基盤研究(C),課題番号:15K06471)を発展させ,bite plate(ダイス状の突起をその表面に有する金属板)を利用する手法を応用し,その疲労耐久性の改善検証を行った.疲労耐久性試験では実用条件を考え,負荷形式をボルトに対する引張せん断式とし,ボルトサイズを汎用のM6,締結トルクを汎用的な10Nmとした.実験では母材をPP,強化材をCF(Carbon Fiber:炭素繊維)とする直交積層CFRTP板を被締結材とし,これにマイクロミリメータサイズの微細ガラス繊維やPP製フィルムを併用する継手構造を疑似的に再現した. 研究の結果,ボルト穴近傍での初期損傷の存在を仮定し,疲労耐久性寿命の指標となる臨界エネルギ解放率の変化をコンプライアンス法により測定したところ,臨界エネルギ解放率と継手効率との間には正の相関関係が存在することを確認した.また疲労進展状態の違いを詳細に把握し,Bite plateと改質フィルムを併用すると,き裂進展面付近での炭素繊維上の樹脂の残存量が多くまたは覆われた状態を維持できる事を明らかにした.また適切な条件でBite plateを溶融併用すると,Bite plateを適用した領域内での局所的な炭素繊維と樹脂の接着性が改善され,疲労き裂の進展抑制に寄与する事も明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では,まず研究の1年目においてそれまで実施してきた基盤研究(C)15K06471の研究結果を直接的に発展させ,2次元的な平板ボルト締結継手に面内せん断力が負荷した場合の,切断された強化繊維への適切な荷重の流れを得るための新しい締結技術を確立する事を計画した.この計画に対して,小突起を有するいわゆるバイトプレート(bite plate)を併用する対策法を有機的に検証し,静的強度の改善効果だけではなく,マイクロサーボ試験機を購入できた事で,特に疲労寿命に大きな改善効果が得られる事を定量的に明らかにできた.また臨界エネルギ解放率に代表される力学手法や,き裂進展面での特定的な状態の違いも明確にでき,それらのマクロな特性の違いの要因がバイトプレートにより湾曲させられた状態の強化炭素繊維と樹脂との間の局所的な接着性の改善に起因する事を明らかにできた.これらの点においては計画通りの内容を実行できた. しかし申請時の計画では,この改善効果の検証実験を新規の材料試験機用の制御装置面を購入し専用の治具等を自作した上で面外負荷時の条件にまで発展させる計画をしていたが,既存の試験機を改造する事に計画を変更したところ,治具等の自作に予想以上の期間を要し,1年目には面外負荷の条件への展開研究には至れなかった.この点については計画にある程度の遅れが生じた.これらを総合して上記の判断とした.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる当該期間では,1年目に考案した平板ボルト締結継手に面内せん断力が負荷した場合の切断された強化繊維への適切な荷重の流れを変更するための締結部での再溶融や,強化繊維の再配向 ,などの新しい締結方法の改善検討の考え方を3次元負荷の条件にまで発展させ,平板ボルト継手にそれらの面外荷重が作用した場合の強度及び耐久性変化等のこれまで知られていないこのような基礎データを取得し社会に発信する事を2020年度の目標とする. 上記の研究目的および研究目標を実現するために,1年目に行った2次元的な平板ボルト締結継手に面内せん断力が負荷した場合の,切断された強化繊維への適切な荷重の流れを変更するための弾性カラーの利用や,締結部での再溶融,強化繊維の再配向,などの新しい締結方法の考え方を発展させ,ボルト締結部付近での,強化繊維の再配向をより促進するための突起状ワッシャ(特殊座金)や,ボルト穴付近での厚み方向の面圧分布を意図的に,かつ容易に変更できるような機構を考案する.具体的には,CFRTP(炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス)板を使用し,締結部での局所的な繊維配向の変化を誘引できる再溶融条件の検討や,主強化繊維への力学的な荷重伝達を促進するための補完的なカラーおよび,独自の異形または面外方向に突起を有する座金状の補助板などの利用を検討する.これらを用いた場合の破壊の起点および破損条件を調べ,その破壊の原因となるき裂の進展の進展抵抗を促進するための最適条件を明らかにする.またこれらの改善手法を用いた場合の効果の3次元的な負荷条件下での変化を明らかにする事で,負荷方法や締結方法が任意に変化した場合の力学的な改善効果を検証する. なお研究推進のために,本研究代表者はより緻密に全体の進行を統括しながら確実に目標が達成できるよう研究協力者および研究グループの研究統括を行う.
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Research Products
(24 results)