2019 Fiscal Year Annual Research Report
オペランド中性子散乱による全固体蓄電池のバルク・固-固界面イオン流れの可視化
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19H02457
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 一広 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (40362412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 謙二 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (00524159)
大場 洋次郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究副主幹 (60566793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 蓄電池 / イオン伝導体 / 中性子 / 構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大強度陽子加速器施設 物質・生命科学実験施設(J-PARC MLF、茨城県東海村)で稼働している最新パルス中性子回折装置SPICA(スピカ)を含む世界トップクラスの中性子散乱・回折装置群と最新鋭オペランド実験機器を活用し、電池性能をフルに引き出すための「伝導イオンが高速で移動できるバルクおよび固-固界面構造」を明らかにする。そのため、全固体蓄電池に対して充放電中(オペランド)中性子散乱・回折実験を行い、充放電中のバルクおよび固-固界面構造を精密に可視化し、伝導イオンの動きも直接観察する。さらに、得られた構造情報と新しいイオン伝導経路可視化技術(Bond Valence Sumイメージング)を駆使し、充放電中(もしくは電圧印加中)のバルク内のイオン伝導経路と、さらには固-固界面内のイオン伝導経路についても可視化する。 令和元年度は、中性子回折データおよび放射光X線回折データを併用し、リバースモンテカルロ(RMC)モデリングおよびBond Valence Sumイメージングを組み合わせることで、Li2S-SiS2系固体電解質ガラス(リチウムイオン伝導体)の原子配列(構造)およびリチウムイオン伝導経路の可視化を行った。本研究成果は、国際ジャーナルSolid State Ionics(2020年)に掲載された。また、電圧印加による中性子準弾性散乱実験を行うため、実験機器および専用セル(実験試料)の開発を行い、Li7P3S11固体電解質(リチウムイオン伝導体)の中性子準弾性散乱スペクトルの測定に成功した。現在、本データの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、蓄電池材料の中性子回折データやX線回折データからリートベルト法(結晶構造解析)やリバースモンテカルロ(RMC)モデリング(非晶質構造解析)により結晶・非晶質構造を精密に決定し、得られた構造情報を基に、蓄電池材料中のイオン伝導経路可視化技術(Bond Valence Sumイメージング)の開発を推進している。特に令和元年度は、Li2S-SiS2系固体電解質ガラス(リチウムイオン伝導体)のリチウムイオン伝導経路の可視化を行い、本可視化技術の検証および高度化を実施した。本研究成果は、国際ジャーナルSolid State Ionics(2020年)に掲載された。 同時に、充放電中(もしくは電圧印加中)の伝導イオンの動きを直接観察するため、電圧印加による中性子準弾性散乱実験が可能な実験機器および専用セル(実験試料)の開発を行った。これにより、電圧印加中のLi7P3S11固体電解質(リチウムイオン伝導体)の中性子準弾性散乱スペクトルの測定に成功した。現在、実験データの解析を進めている。 蓄電池セルについても、充放電評価装置、交流インピーダンス測定装置、等を用いて特性評価を随時行っている。オペランド中性子散乱・回折実験に適した蓄電池セルを開発することで、充放電下での蓄電池の静的・動的構造観測が可能となる。一方、メカニカルアロイング法による新規蓄電池材料(主に、固体電解質材料)の探索も進めている。 以上のような理由から、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下、今後の研究の推進方策について示す。
(1)バルク構造およびイオン伝導経路の可視化技術の高度化:充放電中の固体電解質および正・負極活物質の構造変化、イオン伝導経路を可視化するため、BVSイメージングの高度化を進める。BVSイメージングに必要な構造情報について、結晶系ではリートベルト法、乱れた系ではリバースモンテカルロ(RMC)モデリングを活用する。また、乱れた系においては、構造解析の精度向上のため、SPring-8施設の放射光X線回折装置も相補的に利用する。また、結晶系のイオン伝導経路可視化では、最大エントロピー 法(MEM)も相補的に利用する。 (2)全固体蓄電池の構築と電池特性の評価:昨年度に引き続き、全固体蓄電池の構築と電池特性の評価を進める。全固体リチウムイオン電池(LIB)では、固体電解質の最有力候補であるLi7P3S11やLi10GeP2S12を中心に全固体LIBを構築する。一方、全固体フッ化物イオン電池(FIB)では、Ce0.95Sr0.05F2.95とCe0.95Ba0 .05F2.95固体電解質を中心に全固体FIBを構築する。オペランド実験を行う前に、電池部材の構造評価(X線回折、X線小角散乱、等)に加えて、充放電特性や交流インピーダンス測定等の特性評価を行う。なお、新規電池材料が見つかった場合には、随時使用する。 (3)オペランド中性子回折・散乱実験:J-PARC MLF施設の最新パルス中性子回折装置(BL09 SPICA)や他の中性子散乱・回折装置群を利用して中性子オペランド実験(もしくは電圧印加実験)を行う。同時に、中性子・X線反射率測定の予備実験を開始する。
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[Presentation] Complementary Use of Versatile Compact Neutron Diffractometer on B-3 beam port of Kyoto University Research Reactor (KUR) and Neutron Diffractometers at J-PARC MLF2019
Author(s)
K. Mori, R. Okumura, H. Yoshino, M. Kanayama, S. Satoh, Y. Oba, K. Iwase, M. Hino, T. Sano, H. Hiraka, T. Kamiyama, T. Otomo, T. Fukunaga, Y. Kawabata
Organizer
The 3rd J-PARC Symposium (J-PARC2019)
Int'l Joint Research
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